コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2019年9月10日

その183 我々は事業者であるとともに消費者であることを忘れないように

ニュースやワイドショーで消費税の話題が多くなってきました。

「何だか難しいわね。

こんな直前になって、こんなケースは10%、こんなケースは8%って言われてもわけがわからないわ。」

「軽減税率は線引きがむずかしい例が無数にあるからね。

それにキャッシュレス決済のポイント還元もあるんだから、店も消費者も混乱するよね。

だけど、還元もバカにならないから、そういうことを考えて買い物してね。」

「あら、そんな混乱するうえに、5%還元や2%還元するなら、増税なんてやらなきゃいいのに。

手間ばかりかかって、2%高くして、5%返したらお店は損じゃない。」

「いやいや、そうじゃなくて返すのはお上なんだよ。

カードが対象だから手数料で損する店も出てくるかもしれないけど。」

「だったら、尚更、やらなきゃいいのに。

誰もいいことないわね。」

「いや、返すのは9カ月間だけで、その後は税収が増えるから、国は結果オーライなのさ。」

「ウチは、あなたがその分稼いでくれば、問題ないんだけどね。

アハハハハ。」

「・・・。」

(だから、買い物の仕方とか、節約とか・・・)

【我々は事業者であるとともに消費者であることを忘れないように】

10月から施行される消費税率10%への引上げを前に、皆様いろいろ動いていらっしゃると思います。

急に動き始めた方もいらっしゃるかもしれません。

あちらこちらで〈ウチはどうしようか〉という声が聞かれます。

ようやく大手チェーンがその内容を決定し始めました。

取り組み方はマチマチで始まってみなければ、その成否は明らかではありません。

今までの消費税UPとは内容が違うため、やらなければいけない手間が多く発生していますが、営業上お客様を混乱させるわけにはいきません。

顧問店や通信会員の皆様には「消費税増税対策」で詳細をお送りしていますが、テイクアウト・デリバリーと店内価格が違えば、メニューは2種類製作し、レジも新しいものに変えることが必要な店もあります。

(補助が出るとはいえ出費は避けられません。)

5%還元に対応しようと思えば、カードの導入も動かなければなりませんし、電子マネーの対応も考えなければなりません。

さらに、それを従業員が全員理解できるように教育もしなければなりません。

キャッシュレス化が促進されていますが、スマホ決済での会計で、操作に不慣れなスタッフが対応したために会計額がすべて未収になった実例もあります。

間の悪いことに、ここにきて、最低賃金の増額(東京は時給1000円)も施行されるため、材料費の値上がりと考え合わせると、2%の消費税分を価格転嫁させるだけでは収益が悪化することは容易に想像がつきます。

これらを踏まえた上で、客足に影響が大きく出ない程度の上げ幅とメニュー選択を考えなくてはならないでしょう。

また、防衛のためにも、表題の〈我々は事業者であるとともに消費者であることを忘れないように〉ということで、仕入れなどは5%還元が得られるカードの使用を積極的に行うとか、お店を選択するとかのちょっとした対策も考えなくてはいけません。

いやはや、経営とは尽きぬ問題を解決し続けることなのかもしれませんね。

ではまた。

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