コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2019年12月9日

その186 お客様の心情がわかる接客を

奥神様が買い物からプリプリと頬を膨らませ怒りながら帰ってきました。

「今の若い子は、何考えてるのかわからない。

どうかしているわ」

「どうした、ばばあ扱いされたか?」

「はあ!?何言ってるの?」

家電売り場で「何か御用があれば何でもおっしゃってください」と声をかけてくれた女性の店員さんに「はい、ありがとう」と答えた奥神様が商品を品定めしていた際、棚からパンフや小物を落として床に散らかしてしまったそうです。

申し訳なく拾い集める彼女をその店員さんは、じっと見つめるだけで全く助けてくれなかったそうです。

「自分がやってしまったことだから、片付けるのは当たり前だけど、少しは助ける素ぶりでも見せてほしかったわ。

普通、手を出すでしょう。

私が片づける間、ずっと横に立っていたのよ。

それで、全部片づけて、また他のものを見はじめたら近づいてきて〈何か御用があれば何でもおっしゃってください〉って、また言うのよ」

「ハハハハハ!面白いなあ。

教わったことを忠実にやってるんだろな。

助けてくださいって叫べば手伝ってくれたかもな。

何も言わないから御用がないと思ったんじゃないか」

「えぇー、そんなことある?」

「あるある!」

「・・・」

皆様のお店にもこんなスタッフいません

【お客様の心情がわかる接客を】

お店にご来店いただいたお客様はいろいろな動きをします。

その動作や言葉に敏感に反応するのが我々サービス業の人間です。

確かにその反応が最近どこのお店でも鈍くなっているような気がします。

そんな今だからこそ、それができれば差別化になるのです。

食前食後に薬を見かけたら「お水をお持ちしましょうか」。

哺乳瓶を取り出したママさんには「白湯をお持ちしましょうか」。

ナイフフォークが使いにくそうなご年配の方に「箸をお持ちしましょうか」。

幼いお子様には〈小さなスプーン〉のご用意を。

個室から出てきたお客様がキョロキョロしていたら「化粧室でしたらご案内いたします」。

寒い日には膝掛けを。メニュー表から顔を上げたら即座にご注文を伺いに行く。

お冷のグラスの氷の音が聞こえたらお水を注ぎに向かう等々。

お客様が今何を望んでいるのか、お困りのことはないか、と注意深く店内を注視していれば良いサービスがたくさん見つかるものです。

マニュアルどおりにその内容を行うことが良い接客だというのはもう通用しない時代に入りました。

マニュアルがあることはお客様も前提で知っていらっしゃいます。

マニュアルを感じない、心が通う接客に出合うとお客様は小さなことで感動していただけるのです。

ウチの奥神様も店員さんが「大丈夫ですか。私が片付けますから結構ですよ」なんて言われていたら、その場で高くても買ってたかもしれません。

我が家も明るい一日になっていたことでしょう。

サービスに不満を感じると、当然、顧客満足度は上がりませんし、リピーターにはなりません。

「お客様目線で接客の大切さを考える」

是非是非、お客様を癒す〈心情接客〉に取り組んでいただきたいですね。

大変ですけど。頑張りましょう。

ではまた。

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