コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2020年12月7日

その198 コロナ禍だからと言って同情はしてくれない、精進を怠ってはいけない

「なんなんだ!?このひどいマグロは!

どうだい、そっちの白身は?」

「うん、味がない。ひどいわ。」

奥神様と久しぶりに意見が合いました。

合いましたが残念な合い方です。

コロナ禍の中、所用で出かけた際に久しぶりに二人で食事に入った寿司屋での会話です。

「ねえ、出ましょうよ。

他に行きましょう。」

「そうだね、どうしちゃったんだろう。

そうしよう、そうしよう。」

少々?マークがつくような店でも結構我慢する私たちですが、この時は逃げ出すように店を後にしたのでした。

会計をしている奥神様の横で店を見渡し、近いテーブルのお客さんの前を見て驚きました。

寿司ネタが遠めに見ても時間がたって鮮度が落ちているのがわかったからです。

店を出る時、そっと奥神様に耳打ちをすると、そちらをチラッと見て「ひっ、出て正解ね」と。

二人の気持ちが合うというのは幸せなものです。

その後、生ものは食べる気がせず、洋食のお店に入って食事を楽しんだのでありました。

よかったんだか悪かったんだか。

しかし、何であんな商品を・・・。

【コロナ禍だからと言って同情はしてくれない、精進を怠ってはいけない】

我々飲食業界を最もコロナ禍で被害を受けている業界の一つだと考えて、応援し支えようとする動きが広がっていますね。

もう、この騒ぎが始まって1年が経とうとしています。

営業自粛や時短要請を受け入れ、対策経費をかけて店も努力し続けてきました。

政府や各自治体も補助金や助成金などを設け、民間でもクラウドファンディングをはじめ様々の方が味方になってくださっています。

今はGoToイートなどの支援事業がスタートしています。

しかし、そうは言ってもそんな支援では焼け石に水だという店も少なくありません。

根本的解決はコロナ禍の収束でしかないのは歯がゆいばかりです。

お客様が少なければ、食材の消費量は当然減ります。

お客様の食卓に届くときには以前より時間がたっている場合もあるでしょう。

食材によっては限度がまちまちです。

そんなチェックを怠ったものをお客様にお出しすれば一目瞭然、お客様はわかってしまいます。

鮮度が落ちた物を出されれば、「お客さんが少ないから、古くなっているのだろう、しばらく来ない方がいいな」と考えるのが普通でしょう。

「コロナで大変なんだから、少し悪くなっているぐらいは我慢しよう」などとは決して思ってくれません。

GoToイートなどの支援は我々に対して同情がありますが、それに乗ってやってくるお客様はお金を払う以上、それに見合わない商品やサービスには同情のかけらもありません。

まして、怖いのは、ほとんどのお客様は、質が低下していても、決して店に善意では教えてはくれないのが今なのです。

新型コロナで苦しむ飲食店に向かって、何か言えば、クレームとして捉えられ、周りからひどい人として見られるかもしれないから黙っている、そして、暫くは行かなくなるのです。

暫くというより、二度と行かないかもしれません。

良いお客様ほど、『目利きの悪い店』イコール『信頼できない店』と判断するからです。

信頼できない店にはコロナが収束しても足を運ぶことはありません。

全国的に新型コロナ感染者の数値が最高の数となり、第三波を迎えています。

まだしばらく収束はないでしょう。

心が折れそうな日が続くと、いつも日常で行ってきた努力精進が、無駄のように感じられて行動が曖昧になることがあります。

毎日きちんとやってきたことは、決して無駄なことなどありません。

その努力は必ずわかってくださる時がきますから、諦めず精進しましょう。

大変な飲食業界ですが負けないでください。

ではまた。

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