コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2024年8月12日

その242 V字回復は努力があってこそ

「いやぁ、凄いな、日本がんばっているねぇ!

メダルラッシュで気持ちいいなあ。」

「そうなの?

何がすごいの?」

「何がってオリンピックで日本人が活躍しているんだよ。

感動するだろ!」

「ふーん、あんまり見てないから、よくわからない、あなたみたいに深夜起きていられないもの。

それより大谷君が最近出てこないのが悲しいわ。」

「大谷君は最高だけど、今は努力が報われたオリンピックの選手達を見て勇気をもらう時だろ。」

「ふーん。」

「ふーんって・・・。」

まぁ、スポーツを見ての感じ方や競技の好き嫌いなどは人それぞれですが、頑張っている人が報われた瞬間を見て感動するのは多くの方々の共通する感情ではないでしょうか。

それは仕事でも言えることでしょう。

努力は報われないことのほうが多いかもしれませんが、努力しないと報われる可能性まで失ってしまいますね。

仕事でその成果が出た経営者がいます。

それは・・・。

【V字回復は努力があってこそ】

私たちの暮らしが一変したコロナ禍。

我々の業界に与えた影響も凄まじいものでした。

未だその影響から抜け出せず苦しんでいる店も多くあります。

これを機に撤退した店も少なくありません。

そんな中、V字回復を見せた店があります。

東京の下町板橋の決して立地が良いとは言えない店の「F」(仮名)です。

月商500万円の店の売上は250万円まで落ち込み、経営者は頭を抱えていました。

生き残るためには何でもやろうと対症療法に手を付けました。

キッチンカーを最後の投資とばかりに意気込んで始めましたが、他の人も考えることは同じ、キッチンカー乱立の中、思うような回復基調にはなりませんでした。

店舗には相変わらずお客様は戻りません。

ならば、こちらからお客様のところへ届けられるデリバリーに力を入れようと始めましたが、これも思うように売上は上がりませんでした。

「結局、やっていることは人と同じことだから、人以上にはならないのだな。

何か違うことを違う商品を考えなくては」と思ったそうです。

あれこれと迷っていた時、社員として働いていた前の職場でのことが頭をよぎったそうです。

「女性の方に、『お子様ランチを頼んでもいいですか?』とよく聞かれたんですよ。

ですが、“12歳以下のお子様だけなんです”とお断りしていたんです。

その時のお客様の残念な顔がふと浮かびまして、それなら誰もやっていない《大人のお子様ランチ》を弁当でどうだろう」と思い至ったそうです。

これが大当たり、1100円の単価も、大人としては当然とはいえ、ちょいと高いと思う方もいるかもしれませんが、1日200食が完売。

予約制で、サービスもおしぼりもいらず、人の配置もパートさん3人と自分だけで午前3時からにはなりますがこなしています。

最近は楽ができるようになり、パートさん3人でできるようになっています。

他の弁当商品も順調に数を伸ばし、そろそろ人員増加を考えているようです。

余裕ができたので、店にも大英断を下しました。

人件費を効率よく生産性に結びつけるために、営業を週末の3日間だけにしたのです。

この3日間に、今集中してお客様が来店されるため、満席状態が続き、効率は最適になっています。

売上は月1050万円を切ることはなく、原価35%人件費23%を維持し続けています。

250万円から1050万円!すごい!

「努力なんて言えるかどうかわかりませんが、今できることは一所懸命やる、それだけですよ。」

彼は淡々と言いますが、側で見てきた私としては、努力の賜物だと思います。

社長、努力が報われたね!

金メダル獲得ですね。良かった!

今後もさらなる成果を目指していきましょう。

では、また。

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