コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2025年2月12日

その248 環境が悪いからとあきらめてはいけない

「そういえば、最近モノを拾わなくなったなぁ。

財布とか現金とか、よく落ちていたけど。」

「あなた、下ばっかり向いて歩いているからよく見つけたわよね。

姿勢悪い、背中が曲がったわよ。」

「考え事が多いんだよ。落ちているモノを探しているわけじゃない。」

「そんなことより、自分の忘れモノに気をつけてほしいわ。

ホント多いんだから」

「・・・。」

まぁ、下を向きたくなるような経営環境になっているのが現状ですが、我々は前を向いて、しっかり課題を見つけ、取り組んでまいりましょう。

【環境が悪いからとあきらめてはいけない】

「コロナ禍以降、客足が戻って売上も順調ですが、利益は出ませんねぇ。

他の店はどうですか?」こんな質問を最近、よくされます。なぜ利益が出ないのか。

私たちの商売はFLRコストが基準になります。

Rは家賃ですから固定費です。コントロールの仕様がありません。

家賃の値下げ交渉も今はなかなか難しいでしょう(例外はありますが)。

あとは、変動費である原材料と人件費のコントロールですが、それができない環境になっています。

原材料費の高騰は政府の無策が原因ですから、時間がかかるでしょう。

人件費も最低賃金の上昇を民間も素直に従っている状況では贖いようがありません。

打開策は価格の値上げしかありません。

つまり、値上げをしてもお客様が支持し続けてくれる店づくりしかないのです。

先日、とんでもない店に出合いました。

仕事帰りにスタッフと立ち寄ったのですが、店頭でイーゼルを見ると汚れていて、長い間書き換えた形跡がありません。

それでも、「口コミは良い」というので、3階まで上がり、キタナイ防火扉みたいな入り口を開けました。

店主らしき人物が見えたので、「やってますか?」と声をかけました。

午後7時を回っていて、そう尋ねるのもおかしいのですが、営業中なのかわからない雰囲気で。

「えぇ、やってますよ」と店主は答えましたが、これもおかしいでしょ。

「はい、営業しています、いらっしゃいませ!どうぞ、こちらに」ではありませんか。

まぁ、踏み込んでしまったので仕方ありません。店内は24~5席で客は一人もいません。

席について、定番のビールを探します。

「生ビールは無いんですか?」と聞いたところ、「置いていません(キッパリ)」と。

「あ、瓶ビールね、3種あるみたいダネ」とスタッフに投げかけた言葉を遮るように店主らしき彼が「今は1種類だけです。他はありません(キッパリ)」と。

あ、そうなのね、ではそれを」と注文しました。

ここで申し上げますが、この店、居酒屋です。

続けて、メニューを見ながら「では、冷奴と厚揚げをください」と言うと、即答で「豆腐がありません(キッパリ)」

「それじゃ、この店のおすすめは?」

「刺身です」

「では、刺身の盛り合わせとポテトサラダもね」と注文したのですが・・・。

ビールがきて呆れました、ぬるいのです。

おそらく冷蔵庫のアニキ(元から入っているビール)の前に新しいビールを入れて、冷えが足りない状態のまま提供したのでしょう。

刺身がきてさらに呆れました。

盛り合わせは、2種類の魚が2切ずつ皿にベタ盛りされているだけ、ツマも何もありません。

さらに驚愕がポテトサラダです。

提供されたポテトサラダになぜかピンク色が不気味に交っていたのです。

最初はビーツか何か入っているのかなと思い一口口に入れたのですが、酸っぱいのです。

スタッフに「食うな!」と言って、「お会計お願いします」と店主らしき人物を呼んだのでした。

この店は、もう諦めているのでしょう。

暗い雰囲気の店主、なすべき仕事を放棄しているとしか思えません。

お客様を迎える気配りは一切なく、商品の品揃えも不足しており、品質も低下したまま改善の気も見えない。

繁華街のど真ん中にいるのですから、手段方法はいくらでもあるはずです。

ここで場所を申し上げますが渋谷のど真ん中です。

インバウンドのメッカでもある場所です。

アイデア次第で繁盛は狙えるのです。

おそらく、諦めて下を向いているだけなのでしょう。
 
私も奥神様に言われた言葉(下ばっかり向いてるから、背中曲がった)を思い出して歩きながら、目線を3センチ上げてびっくりしました。

違う景色がたくさん入ってくるのです。

目線を上げることで今まで見えなかった道が見えてくるのだなと思いました。

不安になって落ち込みそうになった時こそ、目線を3センチ上げて、前を見ていただきたいと思います。

きっと新しい道が見えますよ。

では、また。

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