コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2004年7月29日

その3 QSCのQ

さて、コンセプトがしっかりと出来上がった店が、次にやらなければいけないのが飲食店の基本整備です。
基本を考えていくときに必ず出てくる言葉がQSCですが今回は、Qについてのことを述べてみましょう。

Qは商品(料理)クオリティのことで、商品の品質管理が主な意味ですが、最近は味はもとより料理の盛り付け、ボリューム、器のセンス、新食材の導入、提供方法、そして、メニューの構成、アイテム数の決定、また料理そのものの情報提供なども含んで考えていかなくてはなりません。
ではどのように診ていくかですが、まず味については勘違いしてはいけません。美味しければ店が流行ると思っている人がタイヘン多いのですが、そもそも不味かったらお客様は来ないわけで、今の時代美味しいのは当たり前なのです。食えないものなど誰も売っていないのです。そんな店があってもあっという間になくなっています。ですから美味しさ造りは必須事項であり、繁盛の切り札ではないのです。
さらに言えば「美味しい、不味いの二つに分ければどちら」という質問には答えられるけれど、どう美味しいのかどのくらい美味しいのかの判定ができるお客様は、そう多くはないのも事実です。食感研究所の調査でも、五味をほとんど正確に味分けられる人は4人に1人の割合でしかないそうです。料理の達人や鉄人の料理も彼らが作っていることを知らずに食べれば、単純普通に美味しいと答える人が75%もいると言っても過言でもないのです。
ですから、味については[美味しさの追求は大事だが、それが決め手ではないし、ましてや全てではない]と結論づけてもいいのではないでしょうか。

つまり、多くのお客様は味以外の価値観を含めて美味しいと言っているのです。コンセプトによる中心客層ごとに価値観が多少違いますが、それが盛り付けの素晴らしさ、珍しさであったり、ボリュームの量、器のセンス・珍しさ、そしてその料理の提供の仕方(氷やドライアイス、火を使用するなど)であったりするのです。
また、最近は料理に対する情報を求めるお客様も増えています。どのようにしてこの料理が出来上がってきたのか、とても知りたがっています。店が料理教室を開くと結構な人数が集まるという話はよく耳にしますがそのことの表れでしょう。技術的なことやレシピの提供など、できる範囲はどんどんすればいいのです。
このように味以外の価値観を含めてクオリティの高さを追求していくことが飲食店のQSCのQだといえるのです。
次回はメニューの構成と分析についてです。その後SとCで進めます。

つづく

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