コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2007年6月11日

その36 信頼すれど信用せず

アジア最後の経済成長国と言われているベトナムに行ってきました。

私石田、初めての国のためワクワクとドキドキが交差して子供のような気分で現地に着きましたが、オドロキの連続でした。

そこには30年以上前の日本があったのです。飲食ビジネスも今だ未成熟で外資もほとんど進出しておらず、先行が本当に楽しみに感じました。

街はベトナム戦争後の日本で言う団塊の世代の若者であふれ活気に満ちています。知ればしるほど魅力的に感じ、「是非とも顧問店のオーナーたちとツアーを組んでもう一度来たい」と思ったのでした。

そんな思いで帰国したとたん一本の電話が・・・

信頼すれど信用せず

「先生、困ったことになりました」。顧問店の社長からの第一声です。

なんと宴会のお客様からサイフの忘れ物の問合せがあったので、調べさせましたが、なかったため、その旨を伝えました。しかし、納得していただけず、再度、後片付けをした3人の高校生スタッフに確認したところ、「A君が持っていると思います」とその中の1人が言ったそうです。

さっそく社長はA君を呼び問いただしました。A君は「ああ、実は持っています」そう言ってサイフを出したそうです。

オーナーの奥様が機転をきかして「裏の事務所の方に届いておりました」とお客様にサイフをお返ししたそうですが、お客様はいぶかしげな表情で帰っていかれたので、心が痛い思いだったとのこと。

驚くのは、この高校生、その日帰りの時間になったら、「お先に失礼しまあ~す」と言って、さっさと帰ってしまったそうです。きちんと話をしようとした社長は仕方なく翌日彼を呼んで解りやすくさとしたそうです。

ところがA君から出た言葉は「今回は僕だということがわかったからこんなふうになりましたけど、わからなかったら同じ事は何回もやると思います」と言うものだったそうです。サイフを見つけたことをラッキーと捕らえているようなのです。たまたま出来心でやったのではなく、まさに現代の風潮でもある「わからなければいい」という考えを地でいく答えではありませんか。

他の2人の高校生とて事の重大さを実感していない、最初の問いかけの時は「知りません」と答えているのです。次のラッキーは自分にもあるとでも思ったのでしょうか。天を仰ぐしかありませんね。

付け加えますが、彼らは決して不良な高校生ではありません。ごく普通のアルバイトです。

今後どうするか、社長に対して私はこう申し上げました。

「信頼すれど信用せず」です。

どんなに素晴らしいスタッフと言えども、ほんの少しの間違いや出来心、見識のなさはあるものです。その部分が表に出ないようにしっかりとした管理体制を構築することが彼らのためでもありますね。

今、セキュリティーを含め、店内、バックヤード、レジ周辺にカメラを設置し、その映像をネットにストックしておけるシステムも出来上がっています。費用も安価なものができたとメーカーが私のところにも案内にやってきました。今後の管理には利用すべきだろうなと今回の件で更に感じたのでした。

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