『食の豆々知識』 Vol.2 五味について

 さて、今回は先日ちょっとだけふれた、「五味」についてです。

 五味とは、五つの味、「甘い」「酸っぱい」「塩辛い(しょっぱい)」「苦い」「辛い」をさします。
これらの味は、舌でもちろん感じる訳ですが、舌のどの部分でも同じように感じるのではなく、部位や温度によって感じ方に強弱があるようです。
個人差は少々あるものの、甘味は、舌の先端で感じ、酸味は舌の両端、塩味は舌の周辺、苦味は舌の根元で感じるといわれています。
また、甘味は体温の近くで強く感じ、塩味は低温で強く感じます。ですから、味見をするときには、適温な状態で、舌全体で一度に味わうようにしなくてはなりません。

 逆に、この効果を利用して、舌のどの部分に流れるのかが計算され、作られたワイングラスがあります。
一度、いろいろな形のワイングラスで同じワインを飲んでみてください。口の狭まったもの、広いもの、カーブの深いもの、浅いもの、それによってびっくりするほど、ワインの味がかわります。
酸味の強すぎるようなワインをそれなりのグラスで味わうと甘味が出たりしますので、安いワインもそれにあったよいワイングラスで提供すると高く売れたりします。それはそれで、おすすめです(笑)。
また、味見をする場合、口の中に含んでいると唾液ですぐに薄まってしまいますので、味を記憶したらすぐに飲み込むようにします。
もちろん、たくさんの味見をしなくてはいけない場合は、酔っ払ったり、おなかがいっぱいになりすぎて、正確な味をつかめなくなりますので、もったいながらずに吐き出します。
店1件分のメニューの試食などの時には、もったいながっていると、最後はただの飲み会になっていることが多々見られます。

  五味はそれぞれの味以外にも様々な性質を持っています。
例えば、砂糖を隠し味に良く使われることからもわかるように、甘味にある旨み(おいしい)と感じやすい性質や、辛味にある食欲増進の性質などがそうです。
また、これらを単独で味わうことはほとんどなく、通常、食べているものには数種類以上の味が共存しています。この時、更におのおのの性質による「混合効果」がおこります。
すいかに塩をかけて食べると甘味が増す「対比効果」や、辛味や塩味がきいたスープに酢を入れるとまろやかになる「抑制効果」、こんぶだしとかつおだしを合わせることにより更に旨みが増す「相乗効果」などがそうです。
2〜3年前、飲食店向けの業界誌だったかと思いますが、「大人味」と「子供味」という特集記事がありました。
あまり記憶が定かではありませんが、大人味は苦味・渋味・酸味、子供味は甘味・辛味・旨味として分けていたように思います。
万人が好むわかりやすい味とそうではない味とで分けたのでしょう。さすが、なかなか、おもしろいところをついてると感じた覚えがあります。
この分類を使うのであれば、商品を開発する場合、定番ものには子供味がうけ、個性的なものには大人味がうけるといえるのではないでしょうか。
このように味のそれぞれの性質を理解し、そしてそれらの混合効果をうまく利用し、商品に望む味を作り出して頂ければと思います。

ところで、この業界のバイブルとも言われるマンガ「美味しんぼ」の1巻で、味覚のテストを行ったところ合格したのが山岡士郎と栗田ゆう子だけだったように、本当に味覚がきちんとわかる人というのは、全体の1/5しかいないといわれています。
このような仕事をして、いろいろとうんちくを述べている私ですが、その1/5に入っているのか、ちょっとドキドキものです。最近では、五感を調べるドックもあるそうで、今度かくれて検査してもらおうかと考えている今日この頃です。