『食の豆々知識』 Vol.3 五色について

 暑いですね~。こんなに暑いとついついお昼は、カラン、カランと氷を器に浮かべ、ツルツルっとそうめんが食べたくなります。と、夏のCMに出てきそうな場面ですが、ここで使いたい器は、やはりガラス。間違っても、真っ赤な器などは使いません。せっかくの氷の涼しさが半減します。
五色とは赤・黄・青(緑)・白・黒のことをさします。料理では、この五色を基本に、色彩を考えます。色には、それぞれ役割があり、これらの色をどう使うかによって、おいしさにももちろん影響を与えます。

  五色の中でも特に大切な役割をはたす赤は、興奮色であり食欲を刺激し、暖色は食べ物をおいしく見せる効果があります。しかし、同時に進出色でもあり、少量でも存在感があるため、使い方には注意が必要です。コンビニエンスやファミリーレストランなどの看板で1番使われている色が赤であることからもわかるように、赤は目に飛び込んできやすい色です。ですから、アクセントカラーとしての素材の赤、例えば、焼物におかれるはじかみ生姜などは中心部に添えるようにします。端においてしまうと、器の端にまず目がいってしまうことになるからです。また、他の色との存在感を同量にしたい場合は、赤の使用量を少なめにします。これは、紅白なますを大根7、人参3くらいの割合で作ることからもわかると思います。

 反対に青は、食欲マイナスの色ともいわれ料理には使いづらいともいわれます。しかし、安らぎや、爽やかさを演出します。また、上記の例からもわかるように、涼しさ・冷たさを演出するのも青(水を表す)です。

 また、赤・青・黄は信号機に使用されていることからもわかるように、この3色を隣同士に置くとコントラストがはっきりし、互いに引き立てあうという効果があります。青(緑)の中の赤は更に赤く見え、赤身のまぐろの下にしいてある大葉は、殺菌作用のためだけではないことがおわかり頂けるかと思います。
白は清涼感を強め、明るさを増し、黒は、料理の色調を引き締めて、全体を落ちつかせ、高級感をかもしだします。ともに、食べ物を引き立て、素材そのもののおいしさを打ち出すという働きがあるとされています。黒の食材はありますか?という質問をよくされますが、もちろんよく使われています。世界三大珍味のキャビアやトリュフはまさにそうです。料理の中央にのせられることで、もちろん食材そのものの高級感が1番表れると思いますが、色からも料理を引き締め高級感を出すという役割を果たしています。日本料理でもお造りに岩茸や水前寺のりといった黒のあしらいを使用するのはそういった意味合いが強いのでしょう。これらは、トリュフやキャビアに比べ、それ自体のおいしさはあまり関係ないように、個人的には思いますが…。

  メニュー作成時には、全ての料理にこの五色を盛り込むというのではなく、季節やコースなどの流れの中で、器を含めた色のバランスを意識して使用する食材を考えて頂ければと思います。
ちなみに夏のカラーは、青・白・黄。まさに、そうめんにみかんを浮かべた色なんだなあと思いながら、今日もまたお昼にそうめんを食べてしまいました。