『食の豆々知識』 Vol.11 続々砂糖

砂糖もやっと3回目の最終回となりました。今回は、前回予告した、温度による状態の変化のお話。

砂糖は、煮詰める温度によって状態が変化していきます。この性質を利用して、さまざまなお菓子や料理がつくられています。

状態の変化を温度順に見ていくと、

105℃    蜜(シロップ)
   ↓
105~120℃ フォンダン、りん(白い糖衣)
   ↓
130℃    ソフトキャンディ
   ↓
150℃    ドロップ
   ↓
160~165℃ べっこうあめ
   ↓
195℃~   カラメル

と、なります。

実例として、上記の「りん(フォンダン)」の状態を利用した料理を紹介してみましょう。 <くるみの砂糖がけ>
① 砂糖200gと水200mlをよく溶かし、火にかける。
② 105~120℃(少量すくった時に糸をひくくらい)になったら、鍋を水にぬらしたふきんの上におき、急冷しながら一気にかき混ぜて空気を入れる。
③ 白く固まり始めたところでくるみ(100g)を加えてからめる。

このように、お菓子をはじめ、フランス料理のカラメリゼや、中華料理の飴がけなど、様々な料理でも、砂糖の性質が利用されています。 ちなみにジャムがゼリー状になるのは、温度による砂糖の状態変化によるものではなく、果物に含まれるペクチンが砂糖と結合するためです。ですから、ジャムを煮るときは、105℃を保つようにします。それ以上温度が高くなると、とろりとしたゼリー状にはならず、かたくなってしまいます。

以上で、砂糖のお話は終わりです。次回は、塩、砂糖ときましたので、日本人のなくてはならない醤油のお話でもしてみましょうか。

何年か前に、生姜がブームになったことがありました。その時に、某スパイスメーカーの開発を手伝いました。ジンジャーパウダーはそのまま紅茶などに入れると、辛くて飲めません。そのため、生姜と砂糖を結晶させてからパウダーにできないか、ということで、上記の性質を利用して、試行錯誤の上、なんとかできあがった「スィートジンジャー」。開発にも製造にも手間のかかる商品は、斬新的な発想ではあったのですが、ジンジャー熱もあっという間に去り…。いまどこへ…。