『食の豆々知識』 Vol.25 花ズッキーニ

初夏を知らせるかのように、カラフルな夏野菜が目につくようになりました。そこで今年はなんと!近所のスーパーで“花ズッキーニ”を見つけました。
アテネオリンピック以来なのかどうかは定かではありませんが、イタリア野菜が脚光を浴び、“ズッキーニ”も気軽に家庭の食卓にのぼるようになった近年ですが、“花ズッキーニ”まで、スーパーに並ぶようになったとは。
ということで、今回の旬の食材は、“花ズッキーニ”のお話。

● ズッキーニは、きゅうりの仲間?
きゅうりと形が似ているため、きゅうりの仲間かと思われることも多いズッキーニですが、実はかぼちゃの仲間です。
ハロウィンなどの観賞用などでよくみられる“ペポかぼちゃ”の一種で、ズッキーニは一般に花が咲いてから4~5日後の未熟果を食します。中でも、花ズッキーニは、開花前後の花のついた幼果を摘み取ったもので、レストランなどでも特に珍重されています。きゅうりにも、花がついているうちに収穫した“花丸きゅうり”があり、これも同じく珍重されていますけれど。
ちなみに、ペポかぼちゃですから、収穫期を逃すと巨大なズッキーニと化します。

● 黄色のズッキーニは緑のズッキーニが熟したもの?
一般的な緑色のズッキーニと、黄色いイエローズッキーニは、もともと品種が違うものです。
他に、白いズッキーニやピンクのズッキーニなんてのもあります。また海外には、形の丸いズッキーニや、観賞用?と思わせるような巨大な食用ズッキーニなど、数えきれないほどの種類があります。もともと、くせのない淡白な味の野菜ですから、色や形によって、味の違いはそれほどないようです。風味は多少違いますが。出来上がりの料理をイメージして、使い分けてください。

● ズッキーニを生で食べるとおなかをこわす?
本場イタリヤでは、ズッキーニは生では食べません。ので、ものの本によれば、生食はしないと書かれているものもあります。が、別に、生でも食べられます。
細いせん切りにして、オリーブオイルと塩、レモンなどで味を調えたサラダなどは、最近、イタリアンレストランなどでも出されます。ただ、皮が薄く新鮮なものを選ぶこと。また、少し、オイルがなじんでシナっとしたくらいがおすすめ。そういえば、なすも一般には、生では食べませんが、皮が薄くみずみずしい“水なす”などは生で食べるとおいしいといわれています。きっと同じでしょうね。確かに、消化がいいとはいえないでしょうけれど。

● ズッキーニのおいしい食べ方
ズッキーニは、生、茹でる、炒める、焼く、揚げる、蒸す、漬けるなど、どんな調理法にもあい、更には、加熱しても色が変わらないという万能野菜です。オリーブオイルとの相性は抜群なので、合わせていろいろな調理法をお試し下さい。火の通し方ひとつで味わいも食感も変わります。
扱い方のポイントは、あくが少ないので、そのまま調理はしますが、水分が多いのと、淡白な味わいなので、水分を適度にぬくこと。淡白な味わいの中から旨味がぐっと出てきます。個人的な好みでいえば、オリーブオイルと塩でシンプルに味わうのが一番かも。

● 花はどうやって扱うの?
雄しべ、雌しべは取り除きます。一応食べても害はありませんが、虫が入っていることも多く、また、食感もいいとはいえませんから。
ボウルに溜めた水の中で、振り洗いします。絶対に水道水を直接当てないこと。その後、軽くタオルドライ(ペーパータオルでもOK)します。
保存する場合は、花弁がくっつかないように開いて、ラップをして冷蔵庫で保存。1~2日で使い切るようにしましょう。ちなみに、花がついていない場合は、湿らせた新聞紙に包んで立てておくのがベスト。
花も生で食べられます。が、詰め物をして蒸し物や揚げ物にすることの方が好まれるようです。

● ズッキーニはダイエットにいいの?
ズッキーニは、カロチンやビタミンB1、Kが豊富で、とても低カロリー。でも、ダイエット食品として騒がれたのは、地中海式ダイエットとして、オリーブオイルとの相性がよかったためでしょうね。
カラフルなズッキーニが食欲を刺激し、夏バテした身体を自然に癒してくれる、なんてこともいわれていますから、逆に食べすぎてしまったりして。オリーブオイルでズッキーニだけ食べているなら、いいんですけどね…(笑)


かれこれ、もう7年前の話になりますが、オーストラリアのシドニーで、初めて、花ズッキーニを食べました(ものは知っていたのですが、レストランで食べるのは実は初めて)。
そこで、電撃が走るほどの衝撃をうけたのでした。聞けば、シドニーでは、野菜は何でもおいしいが、極めつきはズッキーニの花だとか。花の中に、コーンとクリーム状のフィリングをつめ、フリットに仕上げた一品。カリッとした花弁、とろけるフィリング、ズッキーニの鮮烈な風味、淡白ながら優しい甘味が、口に広がる。ああ、今思い出しても、また、食べたい...。
ということで、日本に帰った後、花ズッキーニを探し回ったことは、いうまでもありません。しかし、帰ったときは、12月。市場にあるはずもなく、待ちにまった翌年の初夏。やっと見つけたのは、デパートの食品売り場で、小さな花をつけた、ちいさなズッキーニが、高価そうに並べられていました。それから、月日は流れ、6年。今では、花ズッキーニが近所のスーパーで手に入るのです!!なんてうれしいことでしょう。ということで、今回は、あくまでも、“ズッキーニ”ではなく、“花ズッキーニ”のお話でした。