『食の豆々知識』 Vol.26 マイクロトマト

“あぁトマトの旬って夏だったよなぁ”と再確認させられるかのように、1年中あるトマトも、夏には更に、様々な種類の、太陽をたっぷりあびた真っ赤なトマトが青果店に並んでいます。
そこに!プチトマトよりも、もっともっと小さい、「マイクロトマト」 なるものを発見!!枝にいくつもぶらさがっている“房つきトマト”は見かけるものの、その直径は1cmに満たず。レッドカラント(赤スグリ)のような風貌のこのトマト、ちっちゃいくせに酸味と甘味がしっかりと主張した、 “トマト”の味でした。
 では、今回は、トマトの基本をちょっとだけまとめてみましょう。

● 日本のトマトは桃色系?
トマトを大きく分類すると「桃色系」「赤色系」「小型系」に分けられます。
桃色系は、皮が薄くて無色透明なもの。甘味が強く、酸味が適度にあるのが人気の「桃太郎」 や、桃太郎が出る前は一世を風靡していた「ファースト」がこれにあたり、生食用に改良された品種です。現在日本の市場に出回っているものは、ほとんどがこの部類に入ります。
赤色系は、皮にも色が付いていて、厚いもの。酸味香りともに強く、煮崩れしにくいので、主に加工用として缶詰やケチャップなどにされることが多い品種です。イタリアの「サンマルツァーノ」が有名です。
小型系は、プチ(ミニ)トマトとよばれ、代表的な「チェリートマト」、長丸い形の「プラムトマト」 、色が黄色い「イエロープラム」などがあります。また、最近では、甘みの強い「レッドオーレ」などの中型トマトも人気です。

● ストレスがトマトを甘くする?
ところで、「高糖度トマト(フルーツトマト)」 といわれるトマトが近年人気ですが、これは、普通のトマトを特殊な栽培により小さくし、高糖度に仕上げているもので、品種の違いではありません。ちなみに、トマトの糖度をあげるには、ストレスが一番といわれています。これらのトマトにはとってもストレスがかけられているのです。人間と同じで、甘やかすと、がんばらないということでしょうかね(笑)。

● トマトが赤くなると、医者が青くなる?
トマトの赤はリコピンによるものです。このリコピンはどの野菜よりも多く含まれているといわれ、ストレスや紫外線、喫煙などで増加する体内の活性酸素を消してくれる物質なのです。また、リコピンの血中濃度が高い人はガンになりづらいとも言われています。このリコピン、更には、熱に強いことも特徴のひとつで、ビタミンのように煮込んだりすることで減ることがありません。だから、トマトは生食にも調理にもむく万能野菜なのですね。

● え?旬は春?
もちろん露地栽培の旬は夏です。しかし、日本は縦に細長い国ですから、産地リレーが行われ、一年中旬のトマトが流通されています。
また、実は、水分を吸収しすぎない梅雨前の3~5月のトマトが一番美味しいともいわれます。夏のトマトは青みの強いうちに収穫するということも多いので、木の上で時間をかけて育った春のほうがおいしいという理由もあるようです。
最近では、まだ未熟な青い状態で収穫したものも出回っています。赤みがまったくないトマトは、それはそれで青臭い爽やかな持ち味があり、使いようによってはおもしろいものです。

● マイクロトマトは偶然の産物?
マイクロトマトを出荷している愛知県の三河温室園芸組合にたずねたところ、「 いつの間にかなっとんたんですよ」だそうです(とあるブログより引用)。市場にでまわるようになったのは、昨年の後半ごろから。品種的にも、ルーツ的にも、まだまだ不明な点が多いこのトマト、関西では普通の青果店でも扱ってるようですが、関東ではまだなかなかお目にかかれません。しかし、このかわいらしさと、1粒1粒のトマトのしっかりとした味は、関東のスーパーに並ぶのも、時間の問題のような気がします。


 ところで、この「マイクロトマト」 といネーミング。「マイクロ」といえば、すぐにうかんでくるのは「マイクロソフト」 か、はたまた、最近電車内の映像に、水着姿で楽しそうに走ってくる奥さまらしき姿がよく流れている「マイクロダイエット」か。それはおいておいても、初めて耳にしたときは、「すごいな、この名前は」と関心してしまったのは私だけでしょうか。
 先日、初めて、特選素材などでも紹介されている「走る豚」 を食べました。確かにうまい。が、他のブランド豚とそう値段も変わらず、どちらがうまいか、といわれると、そう頻繁に食べなれているわけでも私は、なんともいえませんが。でも、このネーミングも、なんともいえない、「すごい名前」だと思いました。
 メニュー名もそうですが、商品の名前というものは、本当に、大切なものだと感じたのでした。