『食の豆々知識』 Vol.28 輸入牛と国産牛②

さて、今回も、前回予告したように、牛肉のお話のつづき。

● 和牛と国産牛、2割の人は同じものだと思ってる。
前回、「国産牛」のお話をしましたが、さらに、ややこしい話で、「和牛」という表示があります。消費者アンケートによれば、2割の人は、「国産牛」と「和牛」は同じものだと思っているそうです。
簡単に言えば、国産牛は「産地」、和牛は「品種」を表しています。言い方を変えると、国産牛というのは、産地が日本であるというだけの意味ですから、品種が和牛かどうかは分かりません。一方、和牛というのは、品種が和牛というだけで、産地が日本かどうかは分からないのです。つまりは、「オーストラリア産和牛」ということもありえる(実際には、日本での品質証明が取れないのでこういった表示は無理らしいですが)のです。

● ブランド牛は本当にうまいのか?
和牛の中でも最もおいしいと言われる黒毛和種の代表的なものに、松坂牛、近江牛、米沢牛などがあります。
では、スーパーなどに「○○(産地)牛」と表示されているものは、すべてブランド牛としておいしいのでしょうか。
今までにお話してきたように、「産地」 と「品種」は意味が違います。乳牛(ホルスタイン種など)として有名なものに十勝牛がありますが、これが、本当に例えばの話ですが、スーパーの牛肉の表示に「十勝牛」となっていたら、食肉としておいしいブランド牛と勘違いしませんか?(十勝牛がまずいといっている訳ではなく。私は、食べたことは、ありませんし...。)ですから、○○牛と表示されているものすべてが、おいしいブランド牛という訳ではなく、銘柄牛にもいろいろあるということです。
でも、生産者の方の努力で、上記以外にもおいしいブランド牛が、現在たくさん出てきているのも本当です。

● 最近話題(?)のトレジャーサービスとは?
消費者が購入した牛肉の生産履歴情報を知ることができる制度が、2004年12月1日から実施されました。
これにより、店頭にある牛肉には、固体識別番号が表示され、パソコンや携帯電話を使って、インターネットで購入した牛肉の出生から食肉処理されるまでの生産履歴情報を見ることができます。また、飲食店でも、焼肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキなどの専門店でも表示が義務付けられました。
しかし、消費者アンケートによれば、この制度を利用したことのある人は、まだ、1割程度です。この制度の存在自体を知らない人も少なくありません。
また、この制度は、“国産牛に限られること”、“こま切れやひき肉などの加工牛、惣菜、一般的なレストランなどでは義務付けされていないこと”、“出生や転出など以外の、例えば与えられた飼料や発生した病歴などの情報はないこと”、そして“インターネットを利用しない人への対応”など、まだまだ課題はあるようです。


米国産牛肉の販売を検討するスーパーが多い中、かたや米系量販店では、販売した米国産牛肉が売り切れ、輸入が追いつかないほどの売れ行きになっているようです。また、限定販売した米国産牛肉が人気で、これも仕入れが追いつかず、今後も期間限定で販売していく方針の焼肉店もあります。

そこで、私のまわりの30~40代のママ(ちなみに子供は0歳~小学生)30人に、簡単なアンケートをとってみました。

【米国産牛の輸入が解禁しました。あなたの家の近くのスーパーで、おいしそうな安いアメリカ産牛があったら、買いますか?】

結果は、「絶対買わない」「たぶん買わない」「まだ様子をみる」が27人と圧倒的。残りの買うと答えた3人は、「お財布がピンチの時に買っちゃうだろうな~」「あんま気にしない」「外食したら食べるだろうし」とのこと。

買わない理由は、もちろん、「信用できない!」ということですが、「オーストラリア産があるから」「鶏肉や豚肉で十分」という意見がほとんど。

私の知り合いなので、偏っている可能性はありますが(笑)、それでもこの結果には、おどろきました。狂牛病問題による、牛肉離れ、そして、オーストラリア産牛の地位の確立、ということでしょうか。

ちなみに、中には、「子供には食べさせないが、私は食べる」といった意見もありました。私もこの意見に賛成。「吉牛」の復活を心待ちにしているひとりですから(笑)