『食の豆々知識』 Vol.33 納豆

皆様、もうすでにご存知の通り、関西テレビ放送は 1 月 7 日放送の「発掘!あるある大事典2」で、事実とは異なる内容が含まれていたと発表しました。「納豆を食べるとダイエットができる」という内容でしたが、その中の研究者のコメントや被験者の検査データがねつ造されたものでした。

 これを聞いた視聴者は、“ひどい!納豆食べたのに!”となぜか、“納豆にはダイエット効果がない”と思い込み、納豆が悪者になるような感想も多く ... 。現に、うちの某代表Iも、“オレも納豆食べてたのによぉ”と怒りぎみ ... 。

 違うんです。納豆は、悪くないんです。「あるある」のデータがねつ造されていただけで、納豆にはダイエット効果があるという学説があるのは事実なんです。それだけじゃなく、納豆は、完全食なんです。

 と、納豆好きな私としては、今回は、納豆の汚名返上の話。

中国では、「納豆」は「豆腐」なの?

大豆は中国から、伝えられたものですが、中国から伝わるときに「豆腐」と「納豆」が入れ替わったという説がありました。なるほど、「なっとう」こそ、腐った豆だものなぁ(実際には、腐ってません。発酵しているだけです。)と納得していましたが、どうもこれはうそくさい。豆腐は、中国でも豆腐ですし、中国の納豆は、豆?(トウチ)といいます。

結局のところ、納豆の名前の由来の有力な説は、お坊さんが納所(お寺の台所)で作って食べたので、「納所豆」がつまって、とか、桶や壷などの容器に「納めた」豆だから、とか、神様に「納めた」豆だからなど日本で生まれたとのこと。

ちなみに、日本、中国以外でも、納豆(らしきもの)は作られています。タイの「トアナオ」、ミャンマーの「ペポ」、インドネシアの「テンペ」などがそうです。が、日本で食べられているような、ネバネバした糸をひくものではなく、主に調味料や保存食として食べられているようです。

納豆を食べると、頭がよくなり、きれいになって、更には長生きもするの?

納豆は、万能薬とも呼ばれる大豆を発酵させることにより、大豆の栄養を消化吸収しやすい状態にし、更に納豆菌が作り出す多様な酵素を含んでいます。

そのため、低脂肪、低エネルギーでありながら、高質なたんぱく質をはじめ、カルシウム、食物繊維、ビタミン群、ミネラルなどの高い栄養価、様々な効能を持つ機能性物質を多量に含む食材なのです。

これらには、脳の極めて基本的で大切な物質レシチンを多量に含み、集中力を高めるカルシウム、思考レベルを高めるビタミン B 、発想力を豊かにするグルタミン酸など、頭脳向上に役立つといわれている物質を多く含んでいます。

また、低脂肪、低エネルギーなだけでなく、様々な種類の繊維質や、脂質の分解を助け蓄積をも防ぐビタミン B2 を含んでいる納豆は、デトックスとしても優秀な食材であり、しかも、カルシウム、ミネラル、ビタミン群はダイエット中に低下しやすい栄養を補い、美肌効果まである上、うわさのポリアミンは若返り効果まであるとか。

更に更に、ナットウキナーゼ、イソフラボン、リノール酸、ビタミン K などが生活習慣病(血栓障害、骨粗鬆症、がん)を防ぎ、ボケを防止して不老長寿にまでなってしまうなんて!!

あぁ、なんてすばらしい食材なんだ ... 。納豆ったら ... 。

納豆は、小粒が旨い。

ところで納豆には、「甘納豆」「糸引き納豆」「寺納豆」があります。ここで話題にしているのは、もちろん、ネバネバと糸を引く「糸引き納豆」のこと。

糸引き納豆は、大豆の粒の大きさにより、大粒、小粒(超小粒、極小粒を含む)、ひきわりに分類されます。

納豆菌は、表面に生えて、豆の中には入れないので、粒が小さいほど納豆菌が生育する率は高くなります。大粒の場合、大豆自体の味が残り、納豆の旨みというよりも大豆と納豆の旨みがそれぞれミックスされた味に仕上がっている感じがします。ので、納豆のネバネバとにおいがたまらなく好きな私としては、納豆菌がいっぱい生えている超小粒が 1 番旨いと思うのです。好みの問題ですが。

ちなみにひきわりは、大豆を粗くひきわり、表皮を除いてから煮たもの。そのため、料理へのなじみはよいのですが、大豆と納豆菌のバランスが優れているとはいいがたく、また、栄養も、若干失われるものもあります。これもまた、あくまで好みの話ですが。

ある納豆メーカーに聞いたところ、関東では小粒、関西では大粒、東北ではひきわりが人気だそうです。もちろん、関西に納豆文化を開花させたのは、“においひかえめ”の登場によるものだとか。やはりこれは今でも関西で 1 番よく売れているらしいです。

納豆はあのにおいがおいしいのに ... 。

納豆をおいしく食べるコツは、“混ぜ”にある。

納豆のネバネバは納豆菌がたんぱく質を分解してできたグルタミン酸からできています。つまり、昆布などに含まれている“美味しさの素”なのです。これを増やさないわけはありません。ということで、 20 分おくかどうかは別の話として、よくかき混ぜて糸をたっぷり引かせてから食べるのが、おいしさのコツです。

納豆メーカーにも聞いたところ、まずは納豆をほぐし、バラバラになったら高速回転で 50 回。たれとからしはあと、とのこと。 50 回という回数は、昔よりも大豆が柔らかくなっているため、あまり混ぜすぎても大豆が崩れるから、と、たれやからしについては、先に入れると、十分な粘りがでないから、だそうです。たれを使わない醤油派もいますが、たれに含まれる、イノシン酸や甘みが、相乗効果で納豆が更に美味しくなるから、使わない手はないとのことでした。

ところで、関西で圧倒的人気なのは、納豆卵かけ。納豆と、卵、たれを合わせてから混ぜて、ごはんやうどん、更にはお好み焼きにまでかけて食べるそう。喉ごしがよく、においやねばりが少ないから、でしょうが、う~ん、やはり邪道だ ... (笑)。

ちなみに、完全食であるとされる納豆も、実は、ビタミンCが不足気味。つまり、薬味に、ねぎや大根おろし、のりといった定番は、非常に理に適っているんですね。

 納豆の話はまだまだ尽きず、とまらないのですが、そろそろあまりにも長くもなってきましたし、この辺で。

 最後に、「ミス納豆」 までいるのをご存知ですか?別に、ミス水戸が兼ねている訳ではありません。ご興味のある方は、「全国納豆協会組合連合会」のホームページまで。ここには、更に更に、納豆のすばらしさがいっぱいのっていますので、それもご参考まで。

 うちにいる 3 歳児はよく、“お母さんのご飯、美味しくていいね~。”と褒められますが、“何が好き?”と聞くと、“納豆!”と答えます ... 。更に、“あとね~、のりご飯も好き。” ... そんなものです。

  納豆と、バナナが好きな子供は、とてもいい子だとママさん友達の間でもよく話していますから、いいんですが。