『食の豆々知識』 Vol.46  米粉

 4月から、更に小麦粉が30%値上げします。

先日、うちのご飯は、朝パン、昼にパスタを食べて、夜はうどんすき。

ぎゃー、全部小麦製品じゃないか!!と、ちょっとあせりました。

米が主食といわれてきた日本ですが、近年、食生活が変わってきています。ここいらでもういちど、米食に戻せ、ということなんでしょうかね。

朝食をパン食からご飯食にする家庭が増えてきているそうです。また、給食も、麺類やパン食の回数を減らし、ご飯食が増えるそうです。

 ということで、今回は、米の中でも、最近注目を集めている米粉のお話。
 

● 米粉ってなに?

お米の粉です。そのままですね。

昔から、和菓子の材料としてよく使われてきました。

大別すると、うるち米から作られるものと、もち米から作られるものがあり、更に、生のまま粉にした生粉製品と加熱してから粉にした糊化製品に分けられます。

ちなみに、うるち米とは、一般に食べている米のことです。おわかりですよね?

うるち米の生粉製品の代表には、お団子作りにはかかせない上新粉があり、もち米の生米製品には、もち粉や白玉粉があります。

糊化製品の代表は、もち米で作った道明寺粉や新引粉などです。

● 外国にも米粉の製品があるの?

東南アジアでよく食されている、ビーフン、フォー、生春巻の皮、これみんな米粉の製品です。

製品によって若干違いますが、うるち米からとったでんぷんを加熱しながら練って生地をつくり、更にゆでてから乾燥します。

小麦粉で作った麺よりもカロリーが低く、ヘルシーでもあり、日本での人気は高まる一方ですが、国内産の米の消費を高めよう、とか、自給率をアップさせようという意味での米粉の注目とは、ちょっと話が違いますね。

● 米粉パンは、アレルギー対応食品?

米粉のパンが人気です。

小麦粉のパンよりも、もちもちしっとりしていて、ヘルシーだからだそうです。

小麦粉と米粉の大きな違いは、グルテン。

米粉にはうどんや製パンに必要とされる、いわいる“コシ”の成分、グルテンを含みません。

ですから、普通に米粉(例えば上新粉など)を使用してパンを焼こうとしても、なかなかうまくいきません。

パン屋さんで並んでいる米粉パンは、一般的に、米粉に小麦グルテンを配合したものを使用しています。

また、ホームベーカリー用の米粉のパンミックス粉なども最近では売られていますが、これも、小麦グルテンを20%ほど含んでいます。

これらのミックス粉を使用すれば、普通のパンを焼くように、米粉のパンを焼くことができます。

しかし注意しなくてはいけないのが、これらは、小麦アレルギー対応製品ではないということです。

小麦粉のアレルギー患者には、小麦のグロブリンにのみ反応する場合もあり、この場合、小麦グルテンには反応しませんので、一般の米粉パンは食べられます。

しかし、小麦アレルギーの患者さんの多くは、グルテンに反応します。

ですから、この小麦グルテンを含んだパンはアレルギー対応とはいえません。

しかし、米粉パンは、卵、乳製品を使っていないことが多いので、そういったアレルギーには対応しているといえますが。

米粉パンというと、小麦を使っていないように思ってしまうことがありますから、売る側も注意して頂きたいものです。

ちなみに、小麦粉のアレルギー対応のパンを焼こうとすると、米粉100%で作るしかありません。

そうすると、どうしても、普通のパンよりおいしいといいがたいのが現状というのが、私の感想です。

最近、毎日のように、値上げだの、節約だの、そんな話題がメディアに取り上げられています。

先日、あるTVで、節約の特集があり、その中で小麦粉の値上げにともない、小麦を使わないで、お好み焼き、鶏のから揚げなどを作るというコーナーがありました。
料理研究科の方が、おからを使ってお好み焼きを焼いたり、コーンフレークを使用してから揚げを作ったりしていましたが、結果、これらより、値上げした小麦粉を使用した方が、安く上がってしまいました。
 
更には、その料理研究家自ら、“でもやはり、小麦粉には小麦粉のよさがありますから、やはり、小麦粉で作りたいですね~”と言っていました。

これじゃあ意味ないじゃーん、と思いながら、でも小麦粉って偉大だなあとつくづく感じたのでした。

そういえば、値上げだけでなく、オーストラリアの小麦の不作により、オーストラリア産の小麦粉が手に入らないそうです。

オーストラリア産の小麦はグルテンが他よりも多いといわれていますが、やはり、他の産地の小麦粉だと、麺にコシがでないと、ある食品メーカーの方がなげいていました。