『食の豆々知識』 Vol.48 エディブルフラワー

小さい頃、祖母はたまに、菊の和え物を作っていました。

当時、野菜嫌い、食べず嫌いが多かった(食べられる野菜はほんとに数少なく、新しい食べ物には抵抗があった)私は、花を食べるということ自体に抵抗を感じ、“葉も嫌なのに、なんで花まで食べなくちゃいけないんだ”と、まったく口にする気もありませんでした。

月日は流れ、好き嫌いはほとんどなくなり、というか、なんでもよく食べるようになり、新しい食べ物は特に好んで食べるようになりました。

先日、あるイタリア料理店ででてきたサラダに、エディブルフラワー(食用花)が色あざやかに飾られ、いや、飾られているというよりは、花がサラダの材料のなかの1つとして出てきて、食べてみると、そのおいしいこと!心地よいハーブのような苦味や、香り、そしてシャキシャキとした食感。花って、おいしかったんだ、と今回やっと感じたのでした。

ということで、今回はエディブルフラワーのお話。

 

●エディブルフラワーって何?

“edible”、つまり、食べられる花。食用に栽培された花のことです。

渋みもなく、食べやすく改良されています。

ヨーロッパやアメリカでは、数百年も前からサラダなどに花が使われていました。

日本では、バラやキンギョソウ、パンジー、スィートピー、そしてカーネーションなどが人気です。

スーパーではサラダ用として、ベビーリーフのように、何種類かのエディブルフラワーがミックスして、売っていたりします。

注意しなくてはいけないのが、食用花は飲食用に無農薬で特別に栽培されているものです。

お花屋さんで売っている観賞用のお花は、毒性があったり、薬が使用されていたりするので食べないで下さい。

 

●なぜ、最近再ブレイク?

エディブルフラワーは、1980~90年代、イタメシやパシフィック料理が流行った時に使用され、ちょっとしたブームが訪れましたが、当時は、飾りとしての用途から抜け出すことができず、パセリやサニーレタスと同じ扱いだったためか、だんだん見かけなくなりました。

しかし、エディブルフラワーは、実は、ビタミンやミネラルが大変豊富なんです。

更にバラやカーネーションには食物繊維も多く含まれ、鉄分を含む花などもあります。

様々なハーブがスーパーにも並ぶようになり、ハーブ感覚として、花を食することに抵抗を感じなくなってきたことや、ベジタブルマイスターなどの資格が話題を呼び、野菜の栄養価に注目するようになったことなどから、エディブルフラワーは、「食べられるけれども飾りとして楽しむもの」から、「見た目にもきれいで、食べたら、身体にもよいもの」と認識が変わってきたのです。

また、更に、エディブルフラワーには、カラーセラピー効果も認められています。花の色によって、元気になったり、癒されたり。

最近では、女性などでもよく取り上げられるようになり、エディブルフラワーの料理や知識のお稽古事なども人気だそうです。

きれいなものを食べると、心も身体もきれいになれそう!といった女性の心をつかんだということでしょうか。

 

●日本のエディブルフラワー

ここで、よく考えてみてください。

日本にも、エディブルフラワーが昔から使われているのです。

日本の食用花の代表はやはり、菊。黄色や紫色があり、和え物やてんぷらなどの料理のほか、お刺身などにもよく添えられています。

これは、色味や薬味としてだけでなく、殺菌作用があるためでもあります。

また、刺身のツマによくある花穂じそや桜茶や和菓子などにもよく使用される桜の塩漬けなどもそうです。

一応、菜の花や、ふきのとうは、花が咲く前に食べることから、野菜になっていますが、これもエディブルフラワーの一種といえば一種ですよね。

ちなみに、紫の菊の花の名前は、「もってのほか」と言います。

食べたら「もってのほか」おいしかったからだとか、とか、天皇家の象徴(菊の御紋)を食べるなんて「もってのほか」だからだとか、由来はいろいろ。

ところで、お刺身のパックに昔、プラスチックでできた黄色の菊が入ってましたが、最近見かけますか?

コスト削減の一種でしょうか。

もちろんこれには、殺菌力はありませんから、ただの飾りですしね。

 

●エディブルフラワーの扱い方

水または、薄い食塩でさっと洗います。

ほとんど野菜の扱いと一緒でいいと思います。

ガクは一応食べられるそうですが、固いので取り除きます。

大きな花は、おしべやめしべを取り、花びらをほぐします。

ジャムや、エディブルフラワーバター、チーズなどを作っておいてもちょっとしたアクセントになります。

エディブルフラワーの氷を作って、水を入れても、パーティなどにきれいですね。

 

おすすめレシピにて、エディブルフラワーを使用したメニューも提案していますのでご参考まで。 //www.fba-a.com/recipe/index.html

 

ところで、先日、下の娘が1才になり、エディブルフラワーを使ってお花畑みたいなかわいいバースデーケーキを作りました。

自画自賛、自分のなかでは“かわいい”と好評だったのですが、上の息子(4才)が、花がのっていることが嫌だったらしく、まったく食べてくれませんでした…。

やはり、花を食べるということに抵抗がまだまだありますから、TPOは、よくご検討ください(笑)。