『食の豆々知識』 Vol.49 カロリー

夏に近づくと、雑誌の特集には“ダイエット”の文字が並び、飲み物や食べ物にも、“低カロリー”や“ヘルシー”という言葉が、目に飛び込んできます。

特にこの時期の女性には、“カロリーオフ”という言葉は、とても魅力的です。

しかし、ここ近年、こういった商品のターゲットは、女性だけではありません。

そう、4月からの検診制度により、更にメタボ対策にはしるお父さん(あるいは予備軍)をターゲットにしている商品が、続々と発売されているのです。

ということで、今回は、カロリーオフ商品について。

 

●カロリーオフってどういうこと?

カロリーの表示は、健康増進法というルールで決められています。

「ローカロリー」という表示は、食品100gあたり40kcal以下、飲料なら100mlあたり20kcal以下のものに限り表示できます。

しかし、これは、100g、100mlの単位でのこと。

実は、500mlのペットボトルをローカロリーだからと言って飲んでしまうと100kcal(おにぎり2/3ヶ分くらい)ものカロリーを摂取することになってしまいます。

「低」「ひかえめ」「少」「ライト」「ダイエット」などの表示も同じこと。

ちなみに、「無」「ゼロ」「ノン」「フリー」などは、食品100g、飲料100mlあたり5kcal未満であれば表示できます。

これも本当に0kcalじゃあないんです。

また、“カロリー○%カット”“○%カロリーオフ”などの表示は、従来の商品との比較なので、実は思った以上に高カロリーであったりもします。

消費者の心理をついた、魅力的な表現ですね…。

 

●「ゼロ」の戦い

これこそ、メタボ対策ターゲットなのでしょうか。

昨年3月にアサヒビールの「スタイルフリー」が発売され、それに続き、今年は大手ビール各社から「糖質ゼロ」の発泡酒がそろって発売になりました。

インターネット上の様々なランキングサイトを見ても、発泡酒の上位は、「スタイルフリー」「淡麗グリーンラベル」など「糖質ゼロ」や「カロリーオフ」なるものが占めていることからも、これら商品の注目度の高さが伺えます。

 

新製品、各社特徴をそれぞれ出してはいますが、中でも注目は「麒麟ゼロ」。

これは、「糖質ゼロ」だけではなく「カロリーオフ」をうたった初の発泡酒なのです(「麒麟ゼロ」のカロリーは100mlあたり19kcal)。

「糖質ゼロ」とうたっていても、もちろんカロリーは「ゼロ」ではありません。

発泡酒のカロリーは、もともと糖質由来のものと、アルコール由来のものがあり、発泡酒はアルコール飲料ですから、カロリーはそこそこあるわけです。

「糖質ゼロ」は、「メタボ対策」として注目されていた商品でしたが、「カロリーオフ」は女性の注目度↑。

どうも他の商品とターゲットがちょっと違うように感じます。

ちなみに、100mlあたり0.5g未満であれば「糖質ゼロ」と表記できるので、これも厳密には、糖質は「ゼロ」じゃなかったりします。

 

●こんなところにまで、カロリーオフ

「ゼロ」のキーワードは、発泡酒だけではありません。

缶コーヒーまで、「カロリーゼロ」をうたっています。

コーヒーってもともとカロリーゼロじゃないの?と初めは思った私ですが、実はこれ、ブラックではなく、ミルクや甘味も含まれたコーヒー飲料では初めて。

他にも、ゼロではありませんが、「カレールー」やおなじみ「ポッキー」までにも、「カロリーオフ」の波はきています。

特に、ブランド名や定番が強いと言われているカレールー業界において、カロリーオフの「プライム」は、注目度、売上を伸ばすなど、「カロリーオフ」「ゼロ」は、やはり重要な「キーワード」と言えそうです。

 

●カロリーがないとものたりない

ところで、面白い記事をみつけました。

トロやカルビ、アイスクリームなど、脂肪分たっぷり高カロリーのものは、どうしておいしいのか。

これは、今までは、油脂分が入ることによりなめらかな食感が加わるためと考えられていたそうですが、実は、“脂ののった旨さ”を感じるのは舌だけではなく、胃で消化されたカロリーが脳に伝わり、この2つがそろって初めて、「やみつきになるほどおいしい」となるというのです。

マウスの実験では、普通の油脂とカロリーのない油脂を与えるのとでは、「やみつきさ」が違うという結果がでています。

低カロリーの代用油や人口甘味料で「おいしいのに何かが物足りない」と感じるのは、胃の情報が満たされないからだと言います。

春雨ヌードルやこんにゃくラーメンでは、何かさびしいのはこれだったのかと(笑)。

ということは、これからは、カロリーオフではなく、カロリーがあっても吸収されないものやコレステロールや脂肪分を分解するもの、または、カロリーが低くても脳に何かしらの情報が伝わり、満足できるようなものが、キーワードに開発されていくのでしょうか。

人間とは欲の深いものです…。

参照: http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2008052702000180.html

商品を開発すると、カロリー計算をもとめられることもあります。

しかし、今は、インターネットのサイトでいろいろあるんですね。

しかも個人が趣味で開いているような、カロリー計算サイトが。

いやぁ、すごいです、感心してしまいました。