『食の豆々知識』 Vol.50 にら

暑いですね。

梅雨が明ける頃になると、毎年、今年はそんなに暑くならないのかなと、ついついちょっとだけ期待をしてしまうのですが、やはり、そんなわけにはいかず。

今年も、変わらず、暑く寝苦しい夏が続いております。

夏が始まる頃は、夏バテをしないようにと、うなぎなんかを食べていても、本当に暑く夏まっさかりになると食欲も落ち、水分ばかりとってしまいます。

そして、残暑が厳しい頃には、完全なる夏バテ。

気付いたときにはもう遅い。

そんなときにこそ、食べてほしいのが最近人気急上昇の“にら”。

そんなわけで今回は、にらのお話。

● なぜ、今、にら?

栽培は古くからされています。

9~10世紀頃から。

想像つきません。

でも、八百屋さんに並び、消費が伸び始めたのは、昭和40年以降。

これなら、私にも想像つきます(笑)。

それまでは、家庭菜園としてだけで消費されていたようです。

それでも香りがきついため、好き嫌いが激しい野菜と、ちょっと敬遠されがちでしたが、ここ近年、香菜などの、においの強い野菜が好まれるようになり、にんにく同様、にらの独特のにおいも気にされなくなりました。

そんな今日この頃、料理番組などで、にらを生で使用した“にらソース(きざんだにらと醤油や酢などの調味料を合わせたもの)”の料理が取り上げられ、人気爆発。

雑誌などで特集が組まれるなど、今や、にらは人気急上昇なのです。

●旬は冬。でも夏バテに最高の食材。

出回っているもののほとんどは、葉幅が広く、色も濃い、大葉種の“グリーンベルト”。

1年中出回っていますが、旬は11月~4月。

葉肉が厚く柔らかです。

しかし。

おすすめは、今。

これから。

残暑にかけて。

なぜならば、

○ビタミンB1を含み、更にビタミンBを持続させる硫化アリル(これがにおいのもと)を含むため、この夏ビールや甘いジュースを飲みすぎた身体に、疲れ、だるさがとれない夏バテに、最適。

○日焼けしてしまった肌に必要なビタミンA、Cもたっぷり。

○クーラーで冷えた身体や、かぜをひいた人にも効果的。

○にら独特な香りや、生で食べたときの辛味は、食欲を増進させます。ちなみに、夏には、少し葉の細く堅めの細葉種が出回っています。

●にらもやしって何?

もともと、「もやし」は、萌やし。

種からでた柔らかい芽のこと。

青にらを、軟化栽培させ、もやしのように育ててものを「黄にら」と言います。

その名のとおり、葉は黄色。

これが別名「にらもやし」。

香りが穏やかで、柔らかです。

ちなみに、「花にら」は先端に蕾をつけ、花茎を食べる花にら専用の品種。

●“おねしょにも、にら”は本当?

にらは、ビタミンEを多く含むので、血液循環をよくします。

にらが、打撲(のはれ)、しもやけ、鼻血などにいいというのは、そのためです。

また、冷えからくる障害に効果があるため、冷え性をはじめ、下痢や腹痛にも。

昔から、「おねしょににら」といわれていたのは、この効用からか…。

ところで、胃もたれやつわりには、にらをつぶした汁に牛乳を入れて飲むといいそう。

これは、今回、調べていて初めて聞いたことでしたが。

う~ん、ビタミンEがあるから、効くんだろうけど、あまり、つわり中には飲みたいとは思わないだろうなぁ…。

にらは、かみきれないとか、歯につまる、なんていう(わがままな)意見もあり、好まれない原因に。

そんなこともあり、生で食べる場合は、みじん切りが正解。

長く切ると更にかみきりづらいです。

ごま油を混ぜると、ゴマの香りが、にらの強烈なにおいを和らげ、更に、吸収をよくするのでおすすめ。

メタボぎみなおじさまにも、日焼けをしてしまった女性にも、夏バテ気味なサラリーマンにも、ぜひ、この残暑は「にらソース」、お勧めしてみてください(笑)