『食の豆々知識』 Vol.58 和え物

「カフェ麺」という新コンセプトが登場しました。

エバラ食品より「サラダ de あえ麺 カフェ麺の素」という商品が発売されたのです。

近年、あぶらーめんなどブームにもなった和え麺を気軽にオシャレにサラダ感覚でどうぞという、カフェめしの麺バージョンといった感じでしょうか。

麺や野菜、具を調味料で和えて提供するというものですが、作業工程として、サラダやつけ麺などに比べ、“和える”という手順が増えるため、実は手間です。

でも、なぜ、“和える”ということが必要なのでしょうか。

ということで、今回は“和える”という調理法について。

 

● 伝統的日本料理としての「和え物」

「和え物」はお造り、焼き物などと並ぶ、日本料理の調理法のひとつで、二種類以上の材料、もしくは材料と合え衣(白和え、味噌和えなどのたれのこと)を混ぜ合わせた料理をいいます。

酢の物や浸し物も和え物のひとつです。

日本料理としては、先付けや前菜として食欲を促進させたり、中ほどで供して前後の料理に起伏を持たせたり、終盤に供して、後に続くご飯をよりおいしく味わえるよう、口直しに使われるなどが多く、主菜になることはまずありません。

 

● コールスローとサラダ

キャベツなどの野菜を、塩、砂糖、酢、サラダ油と順にボールの中で和えていき、なじんだところで器に盛り付けたものと、器に盛られた野菜に、自分で、あらかじめ合わされたドレッシングをかけて食すもの、あなたはどちらが好きですか?

これは、同じように見えても実は、全く違う料理なのです。

後者は、いかにその素材がおしいいか、ドレッシングがおしいいか、というように、口の中で一緒になったとしても、別々に味わうものであり、前者は素材と調理料の調和、一体感を味わうものです。

ですから、和え物はただ、混ぜたものではなく、造りや焼き物、炊き物などと並ぶ、列記とした調理方なのです。

どちらが好きかは好みだったり、その素材、調味料によって違ってくるわけですけどね。

 

● 「和え物」のコツ

ここで基本的なコツをあげてみましょう。

 

①下ごしらえをきちんとする。

水分を切る:水気の多いもの、洗ったものなどはよく水気を切る。

塩をする:余分な水分や臭みを抜き、うまみを引き出す。

湯通し、酒炒り:表面のたんぱく質を固め、水分がでないようにする。

下味をつける:塩をする、醤油や酢洗い、あるいは薄味で煮るなど、合わせる衣や調味料と味がなじみやすいよう、素材にも薄味をつける。

 

②火を通した材料や和え衣は、冷ましてから用いる。

お互いの味、食感などが変らないように、冷めてから合わせるのが基本だが、熱いうちに合わせると、味がしみこみなじみやすいということもある。

 

③食べる直前に和える。

時間がたつと材料から水分がでてきて水っぽくなったり、味がつきすぎたりし、色、歯ごたえも悪くなるので、食べる直前に和えるのが基本。

しかし、味をなじませるために、時間差で和えたり、仮漬け、仮和えをしておくこともある。

レトルトのパスタソースがあります。

あなたはそれを湯煎であたため、皿の中で、茹でた麺と和えますか?それとも、フライパンでパスタソースを温め、茹でた麺をそこに加えて、温めながら和えますか?

レトルト食品ですから、いかに簡単に食べるかということを追及するのであれば、前者の方が楽なのですが、これは後者の方が、おいしいです。

ちょっとのタイミングや温度により、びっくりするほど味が違います。

パスタのでんぷんの間にソースのしみこみ方が違うからです。

ですから、パスタにおいては、和え物の基本、冷めてから和えるというのは通用しません。

温かいうちに食べたいですしね、当たり前のことですが。

また、レタスときゅうり、ピーマンやえびやゆで卵のカラフルなサラダがあります。

ドレッシングで和えて、5分したものと、ドレッシングを別に添えてあるもの、どちらが見た目的に美しいでしょうか。

ドレッシングを和えてしまった方が、味がなじんでおいしいこともありますが、色が同一され、華やかさにかけることも多々あります。

料理は見た目で80%のおしいさが決まるといわれるように、盛り付けも大事な要素です。

素材や料理によって、調理法は変えることが必要ですね。