『食の豆々知識』 Vol.59 卵アレルギー

先日、家族で中華料理店に行きました。

うちの子供たちは、アレルギーがあるため、外食はかなり限られます。

ここは、ピーナッツ油も使っていず、チャーハン&スープ(もちろん卵抜き)が、かなりおいしいので(しかも安い)、ちょくちょく利用しています。

先日も、いつもと同じように、卵抜きのチャーハンとスープ、麻婆豆腐とライス、それと子供たちが大好きな花巻を注文し、大満足で家に帰りました。

家に着く頃から、長男が咳き込み始め、あやしいなと思っていると、やはり、首の辺りから全身にボコボコに蕁麻疹が出始め、息苦しいと言い出し・・・。

発作です。

緊急用の薬を飲ませたら、30分くらいで落ち着いたのですが、原因は何!?

あとで聞いたら、花巻に卵が使用されていたということ。

以前は食べられていたので、レシピがどうも変ったようです。

やはり、アレルギー表示をしていないお店では、毎回きちんと確認しないといけないんですね~と、反省。

 

● 熱を通すと食べられるって本当?

卵アレルギーと一言でいっても、その症状は人により様々です。

一般的に、卵黄はアレルギーを起こす力が弱く、アレルギーの原因は卵白がほとんどといわれています。

卵白はたんぱく質が主であり、たんぱく質は熱を通すと性質が変わることから、加熱した卵なら食べられる、という卵アレルギーの場合もあります。

しかし、卵白には、熱に強く、加熱しても変化をしないたんぱく質、「オボムコイド」が含まれています。

このオボムコイドにアレルギー反応を起こす場合、火を通してもアレルギーが出てしまうのです。

そのため、卵白の反応、オボムコイドの反応の有無、強さにより、完全に卵を除去しなくてはいけない場合(非常に強い場合は、卵由来の添加物や工場ラインも注意)、卵黄だけなら火を通せば食べられる場合、あるいはつなぎ程度の加熱した卵なら食べられる場合、生卵のみを除去すれば大丈夫な場合などがあります。

 

● 低アレルギー卵の開発

花巻で発作を起こした、ちょうど次の日、新聞に下記の記事を見つけました。

広島大の堀内浩幸助教(免疫生物学)らのグループが、アレルギー性を抑えた鶏卵の開発につながる、鶏の万能細胞「ES細胞」の遺伝子組み換えに成功した。

年内にも低アレルギー性の卵を産む鶏が誕生する見通し。(2009.5.2. 読売新聞)

えっ?卵が食べられるようになるの!?と興奮しましたが、「食品としては安全性のハードルがあるが、医療品には早期の応用が期待でき、アレルギーのある人に朗報」とのこと。

つまりは、食用ではない、ということですね。

残念。

まぁ、遺伝子組み換えにはいろいろと不安もありますから、この段階で食べられるといわれても、ちょっと悩みますが。

インフルエンザワクチンは、卵が使われています。

うちも、子供にインフルエンザの予防接種をするときは、かかりつけのアレルギーの病院で、薬(抗アレルギー剤)を服用しながらではないと、アレルギー反応がおこります。

もちろん、もっと反応が強い場合は、接種できないので、これが実用化されれば、卵アレルギーを持つ方にとっては、本当に朗報ですね。

 

● おまけ:卵を使わない卵料理のポイント

コラムのバックナンバーの、「卵」という題でお話したかと思いますが、卵には、味覚だけではなく、凝固作用を始め、様々な調理においての作用があります。

では、卵を抜かして、調理をするにはどうしたらよいでしょうか。

例えば、ケーキを焼くときに限らず、天ぷらやフライの衣には、卵に代わる、ふくらます作用として、ベーキングパウダーを加えます。しかし、それだけでは、油分が足りないため、油類を足すようにすると、ふっくらしっとり仕上がります。

また、色もおいしさのひとつです。卵を使用しない、ケーキやクッキー、天ぷら、フライは、出来上がりが、白っぽく、あまりおいしそうに見えません。

卵黄の黄色は、視覚的にも重要なのですね。

そこで、オレンジジュースや野菜ジュース(にんじんが多いもの)、かぼちゃのペーストや粉末などを加えるとよいようです。

多々問題はありますが、アレルギーの子供たちも、いろいろなお店で、きちんとおいしそうに見えて、そしておいしいものを食べられるようになるといいですね。

ちなみに、アレルギー食をご検討中のご飲食店のみなさま、ご相談、レシピ作り、お手伝い致しますが(笑)。