『食の豆々知識』 Vol.78 かぼちゃ

冬至は、1年で1番昼が短く、夜が長くなる日です。

その年によって、日にちは違い、今年の冬至は、12月22日だそうです。

日照時間は、それからのびていきますが、寒さが厳しくなっていくのは、これからです。

昔から、冬至にかぼちゃを食べ、ゆず湯に入ると、風邪をひかないとか、長生きするとか、お金に困らないとか言われています。

ので、今回は、かぼちゃのお話。

● 冬至にかぼちゃを食べるとかぜをひかないのはなぜ?

かぼちゃの本来の旬は夏です。

特に冬のかぼちゃがかぜを予防する成分が多く含まれているわけではありません。

なのに、なぜ冬至にかぼちゃを食べるのでしょう。

冬至には、「ん」のつくものを食べると「運」が呼び込めると言われています。

にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかんなど、特に「ん」が2回入る野菜をつくものを「運盛り」といって縁起をかついで食べていたようです。

かぼちゃは、漢字で書くと「南瓜(なんきん)」。

つまり、運盛りのひとつだったわけです。

また、現在は、野菜が季節に関係なく手に入りますが、西洋野菜が日本に入るまで、冬に取れる野菜は少なく、保存できる野菜も少なかったのです。

かぼちゃは、切ったり、傷付けたりしなければ、長期保存がきく食材です。

また、かぼちゃには、飛びぬけてカロチンが豊富で、肌や粘膜を丈夫にし、感染症などに対する抵抗力をつけてくれます。

つまり、風邪や中風の予防に効果的。

“冬至にかぼちゃを食べるとかぜをひかない”といわれ、かぼちゃを食べるようになったのは、かぼちゃが、この時期の貴重な栄養源だったからのようですね。

ところで、「 冬至かぼちゃに年とらせるな」という言葉をご存知ですか?

これは、かぼちゃがいくら保存が利く食材でも、冬至くらいまでに食べないと味も栄養も落ちるといった意味です。

ダメになる前に食べちゃえという意味もあるのかも知れませんね(笑)。

● ハロウィンのかぼちゃって食べられるの?

かぼちゃは、中央アメリカから南アメリカ北部を原産地とするウリ科の植物で、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃの3種類に大別されます。

戦国時代、ポルトガル船によってカンボジアからもたらされた日本かぼちゃ。

名前は、伝来先「カンボジア」 からきています。

日本かぼちゃは、皮に溝が入ってボコボコしているのが特徴。

水分が多く、ねっとりとしています。

甘味は少ないのですが、肉質がきめ細かく、煮くずれしづらいので、だしを含ませるなどをし、煮物にむいています。

西洋かぼちゃは、日本かぼちゃと違い、表面がなめらかです。

甘味が強く、ホクホクしているため、栗かぼちゃとも呼ばれています。

なので、プリンやパイなどのお菓子によく使用されます。

最近では、嗜好の変化もあり、西洋かぼちゃが主流で、日本かぼちゃはほとんどみかけなくなってしまいました。

ハロウィンでよくみかける、色とりどりな、かわいいかぼちゃは、ペポかぼちゃです。

ズッキーニもこの仲間で、甘味がうすく、淡白なものが多いため、どちらかというと、観賞用のものが多いようです。

● 最近話題のバターナッツって?

先日、やっと、食べてみたかったバターナッツを食べることができました。

バターナッツは、近年海外から導入された、小型のひょうたんのような形をしているかぼちゃです。

形は、日本かぼちゃの「鹿ヶ谷かぼちゃ」のようですが、表面は、つるっとしています。

そのため、食物図鑑などで、ペポかぼちゃや、西洋かぼちゃとされているものもあるようですが、実は、日本かぼちゃの仲間だそうです。

水分が多く、ホクホクはしていません。

また、他のかぼちゃよりも、繊維質が少なく、さらさらしているため、スープなどにむいているようです。

種は、下の方にちょこっと入っているだけなので、とっても経済的(笑)。

切るととってもあざやかなオレンジ色が目に飛び込んできます。

初めて、この“バターナッツ”を耳にしたとき、かぼちゃだとは思わず、バターピーナッツのことだとてっきり思っていましたが、このバターナッツ、油分とコクがあり、どうもこれが名前の由来のようです。

ところで、冬至にこんにゃくを食べる地方もあります。

「ん」が入っているので、これも運盛りのひとつのようです。

「砂おろし」 といいこんにゃくを食べて体内にたまった砂を出すそうです。

風邪予防というより、厄落としみたいなものですね。