『食の豆々知識』 Vol.82 ふきのとう
このたびの東日本大震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
今、自分で何ができるのか。
日本中の、いいえ、世界中の人たちが、各地で活動しています。
私事ですが、友達が仙台と白河で被災しました。
2日目にやっと連絡がとれ、無事は確認できましたが、水もガソリンもないと。
しかし私は、何を送ることもできず、行って助けることもできず、友達にすら何もできない自分の無力さを感じました。
また、うちには、アレルギーを持った子供たちがいます。
ただでさえ、被災地に物資が届かない状況で、被災地のアレルギーの子どもたちは、食べるものがちゃんとあるのか、心配で胸が痛くなりました。
それでも、私にできたことは、アレルギーのNPO法人やアレルギーサイトにささやかながら義援金を送り、そこから、支援物資のトラックが出発したという報告を聞いて、ちゃんとアレルギーの子供たちに、物資が届くことを祈るだけでした。
先日、スーパーで、ふきのとうを目にしました。
ふきのとうは、ふきのつぼみで、独特な、香り、苦味をもっている山菜です。
それが胃腸の働きをよくしたり、肝機能を強化する効果があるとされています。
天ぷらや味噌汁の具などでよく食べられています。
あくが強いので、刺身のつまなどで使用する場合は、よくあくを抜くようにします。
あくを抜くには、沸騰した灰汁をふきのとうにかけ、銅鍋に入れて蓋をし、そのまま冷まします。
そして更に、流水にさらします。苦味やあくは抜けますが、香りも抜けてしまうのが、ちょっと残念です。
福島の郷土料理に「ふきのとうみそ」というものがあります。
ふきのとうを甘めの味噌で合えた保存食です。
作り方は、家庭によりいろいろあるようですが、油で炒めてから、みそと練り合わせるレシピが、私はおすすめです。
ふきのとうは、北海道から九州の山野に自生していますが、主な産地は岩手、山形、福島、秋田、群馬だそうです。
寒い冬があけ、雪が溶け始めると、ひょっこりふきのとうが顔をだし、東日本に春をつげてくれます。
今年も春をつげてくれているのでしょうか。
ある茨城県の食品メーカーさんが、
「最近、原発のせいでお得意先から、うちの生姜の産地の確認が多いんですけどね。中国産ですっていうと、あぁよかったって安心するんですよ。ついこの間までと逆ですよね。しかも生姜ですよ。」と苦笑していました。
福島県のホームページには、放射能測定を実施し、規制値を下回っている農林水産物のリストがアップされています。
そこに、ふきのとうの名前がありました(3/30現在)。
今回のコラムは、取り留めのない話になってしまいました。
今、私に何ができるのか。
このコラムが少しでも、風評被害をなくし、被災地の復興に役立てば幸です。