『食の豆々知識』 Vol.83 牛タン

このたびの東日本大震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
  
観光に来てください、というニュースを見て、仙台に行ってきました。

すごいです。

仙台には、牛タンマップという牛タンの店ばかりが紹介されたマップがありました(笑)。

さすが。

そこで、悩んだのですが、やはり、とりあえず、ということで、牛タン発祥の店に入ることにしました。

普段は、いつも100人くらい並んでいて1~2時間待ちが当たり前、ということでしたが、2組待ち、10分程度で入ることができました。

いいのか、悪いのか、私たち的にはちょっと得した気分でしたが。

ということで、今回は、今更ながら(?)、簡単ではありますが牛タンをご紹介しましょう。

 

● 牛タンって?

ご存知の通り、牛の舌のことです。

タンは英語のtongueからきています。

1頭の牛から、取れる舌は、約1~2kg。焼肉店で、上タン塩として提供されている部位は、舌の根元の部分。

タン先はよく動く分、硬くなっています。

仙台牛タンの専門店は、タン先などの硬い部分を使用せず、最も柔らかい部分のみを使用しているため、1本の舌からとれるのは、せいぜい8~10人前だそうです。

仙台牛タンは、この柔らかい部位の皮をむき、分厚くスライスした後、日数をかけて、「仕込み」といわれる熟成作業を行うそうです。

この仕込み作業が、焼肉屋とは違う牛タンの味わいを生み出しているのですね。

 

● なぜ仙台で牛タンなの?

太平洋戦争後、ある焼き鳥屋の料理人が、洋食料理の中で使われていた素材「牛タン」の旨さのとりこになり、試行錯誤を重ねた末、日本人にあった塩味の「牛タン焼き」が誕生したのが始まりといわれています。

発祥説には、戦後、仙台に駐留していた米軍が、大量に残したタンとテールを有効に活用するために開発したと言う説がありました。

しかし、調べてみると、当時アメリカ兵はアメリカ本土から牛肉を解体したものを輸入していたため、牛タン自体はほとんど輸入されていなかったそうです。

つまり、この説は偽りだったということ。

ということは、仙台じゃなくてもよかった?なんて(笑)

実際、牛タンを手に入れるのに、店主はとても苦労していたようです。

 

● 牛タン定食はうまいだけじゃない。

仙台の牛タン定食は、牛タン焼きに、きゅうりや、白菜、青菜などのおしんこ、麦飯、テールスープ、というものが定番です。

これに、味噌南蛮というものもついたりします。

南蛮とは唐辛子のこと。

唐辛子の味噌漬けです。

これに私はやられました(笑)。

でもこの組み合わせ、うまいだけじゃなく、コレステロールを含まない良質なたんぱく質がたっぷり、低カロリー、低脂肪の完全な健康食なのです。

動脈硬化防止、貧血防止、肥満防止、美肌効果まであります。

でも、あまりにもおいしくて、ご飯がすすみ、ちょっと食べ過ぎました…。

 

地震から1ヶ月。

小さい子供も、自分の生活もある私は、ボランティアにもいけず、義援金を送る以外、自分がやれることを見つけられず、結局あっという間に過ぎてしまいました。

ただ被災地に行くことは、迷惑になるだけなんじゃないかと思っていましたが、観光地に行くことで、少しでも何かになるかもしれないと思い立ち、1泊2日の強行的な旅行でしたが、出発しました。

そして、もうひとつ、やはり、日本人として、現実を知っておくことも必要なのではないかという思いもありました。

観光地で、いっぱい遊ばせていただき、いろいろと食べ歩き、お土産もいっぱい買いました。

そして、ご迷惑にならないよう、できるだけ注意しながら、被災地をまわりました。

被災地は、TVの映像どおりでした。

しかし、自分の目で見たそれは、更に過酷なものに感じました。

現実がそこにありました。

・・・瓦礫の上の看板にある「がんばろう」の文字。

私なら、がんばれないかもしれない。

この状況で、どうがんばればいいんだろうか。

口が裂けても、「がんばってください。」なんていえない。・・・

しかし、私が接した宮城の方たちは、会いに行った友達を含め、みんな、とても明るく、元気で、前向きでした。

私が1人でできることは、些細なことかもしれない。

しかし、私ががんばれること、それを考え、行動していこうと思っています。

今回のこの私の行動に、文章に、不快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げます。