『食の豆々知識』 Vol.88 輸入規制

今月から、私の修行時代(日本料理の専門学校時代)の友達が、スロバキアの日本大使館に公邸料理人として行くことになりました。

ので、お祝いを兼ね、先日、「紀仙」という懐石料理の彼の店に、食べに行きました。

竹の塚にあるそのお店は、“へぇ、竹の塚の商店街にこんなお店があったんだ”と思わせる(あ、竹の塚をけっしてバカにしているわけではありません 笑。私も昔は、東武伊勢崎線のもっと先に住んでいたくらいですから 笑。)、趣のあるお店でした。

最近、手抜きでだしをきちんととっていない私は、久々に、“あぁ、だしがおいしいなぁ”と感じる、ほっとするようなお料理を頂いたのですが。

お店の宣伝をするわけではないので、お店の話はこの辺にして。

スロバキアって、チェコと分かれたところだよね?くらいしか持ち合わせていない低レベルな知識で、いろいろな話を聞きました。

まず、1番の関心事、仕入れは、スロバキアではできず、隣の国などに買出しに行くそうです。

スロバキアは、スロバキア語、隣の国はその国の言葉…と、考えただけでも、日本語しか話せない私は、頭を抱えてしまいますが、まぁ、言葉の話もおいといて。

市場に行っても、日本のような、刺身は、手に入らないとか。

日本料理で、新鮮な魚が手に入らないのは、かなりつらいんじゃないかと。

しかし、輸入もできないという話になり、そこで、そうか、こんなところにまで、震災の影響はあるのか、と気付いたのでした。

実は、日本は、まだ、チェルノブイリ原発事故による輸入規制を、解いていないんだそうです。

ならば、風評被害だとどんなに言ったとしても、日本からの輸入規制を他国が続けるのもしょうがない話なのかもしれません。

現に、いまだ、43カ国・地域で日本産の食品の輸入規制が続いていて(輸入規制は、輸入停止から、放射性物質の検査の要求まで様々です)、また、今後もそれは長引きそうだと言われています。

中国では、規制はかなり厳しいらしく、ある調味料メーカーさんが、中国に工場を持っていて、そこに、日本から食品を輸出(持込?)し、工場にて製品化されたものを、日本に輸入していたそうなんですが、その資材が、日本から持って行けないで困っているという話をしていました。福島県産でもないのに、と。

でもこれも、今までの中国産の食品に対する、日本の対応を考えると、なんともいえない話なんですが。

日本からの食品の輸出は、数値としては大きくないので、そう大きく扱われませんが、実は、いろいろなところで関わっているんですよね。

今回の震災の重度さを、今更ながら、感じるところです。

前出のお店のデザートに栗の渋皮煮がでました。

“ヨーロッパでは、栗は手に入るんだよね”なんて話をしていましたが、ヨーロッパの栗と日本の栗は種類が違います。

焼き栗にするのは、渋皮が剥きやすく、甘味の強いヨーロッパの栗です。日本の栗は、渋皮がむきづらいので、焼き栗にはむきません。

逆に、こんな渋皮煮は、ヨーロッパの栗で作ったらどうなるんだろうと。

手に入る栗1つとっても、同じ調理法、レシピでは、うまくいかないだろうと、これからの彼の大変さを思いながら、逆に、新しい発見、発掘もあるんじゃないかなと、人事ながら(だから?笑)楽しみさえ思い、彼の成功を祈っている私です。

今回は、食の豆々知識というよりは、ただのつぶやきのようなコラムになってしまいました。

でも何か、おもしろいヨーロッパの食情報が入れば、また、書きますね。