『食の豆々知識』 Vol.92 ふき・ふきのとう

立春を過ぎたので、暦では春ですが、まだまだ寒いですね。

しかし、お店には、春の野菜が並ぶようになりました。

今では、ほとんどの野菜が、一年中手に入るようになりましたが、春野菜は、まだ、この時期にしか食べられないものも多く、旬を感じさせてくれる野菜です。

今回は、春野菜の中でも、「ふき」と「ふきのとう」の話。

 

● ふきのとうは、ふきの何?

「ふきのとう」は、「ふき」の花のつぼみです。

まだ、葉が出る前に、つぼみだけが独立して、地上にでてきます。雪解けの前に顔を出す、春一番の山菜です。

独特のほろ苦さと香りが特徴ですが、野生のものと栽培のものでは、野生のものの方が、苦味も香りも強いです。

ほおっておくと、あっという間に茎が伸び、花が咲いて葉ができ、今度は、「ふき」の旬を迎えます。

ふきも、野生のものと栽培のものがあります。

栽培ものは、葉柄が太い「愛知早生ぶき」と小ぶりで色や香りのよい「水ぶき」が代表的。

愛知早生ぶきは、根元が赤いのが特徴です。

野生のものの方がやはり、あくが強く、繊維も多いです。

ふきの栽培ものの旬は3~6月、山ぶきは4~7月が旬だそうです。

 

● にがみは、身体にいいの?

春野菜の苦味成分は、アルカロイド(新陳代謝!)やポリフェノール(老化防止!!)などを含んでおり、“冬の間にたまった脂肪を流し、味覚を刺激して気分を引き締め、1年の活動をスタートさせてくれる”と言われています。

冬眠から覚めた熊は、まず一番にふきのとうを食べるとか。
私もそうしようかしら(笑)。

春野菜で、お正月太りをデトックスし、また、ビタミンCも豊富な春野菜は、5月からの強くなる紫外線対策もできるなんて、理にかなってますよね。

そしてもちろん、ふき、特にふきのとうも、食物繊維が多く、カロチン、ビタミンB1、カリウム、カルシウム、ナトリウムなどを含む、ノンカロリーな山菜です。

また、ふきのとうの独特の香りは、咳止め、たん切りにも効果的だそうです。

あく抜きも必要ですが、あまり抜きすぎると、香りも風味も、そして、せっかくの栄養もなくなってしまいますので、ほどほどに。

 

● ふきとふきのとうの調理のポイント

ふきのあく抜きは、塩で板ずりをしてから、熱湯で茹で、冷水につけたまま、必ず両端から皮(筋)をむきます。

野生のものなど、あくが強い場合は、水によくさらします。

ふきの青煮を作る場合は、ふきを青く仕上げるため、さっと煮た後、ふきを取り出しうちわなどであおいで手早く冷まします。

煮汁も冷水などに漬けて冷まし、冷めてから、ふきを戻して味を含ませます。

または、ふきを茹でて、地に漬けていく方法もあります。

ふきのとうのあく抜きは、塩茹でし、水にさらします。

野生のものなどで、あくが強い場合は、灰汁または重曹を加えた熱湯を注ぎ、落し蓋をしてから、鍋蓋をきっちりとしめます。

そのまま冷まし、冷めてから、水にさらします。

が、どちらにしろ、あくを抜きすぎるのは、おすすめしません。

天ぷらにする場合は、低温でゆっくりあげます。

揚げているうちに、つぼみが開き、苦味もなくなります。

また、せん切りにして、油でゆっくりと炒めると、苦味が少なくなるようです。

 

冬に黄色い花が咲くので、「冬」「黄」で「ふき」と言う名がついたと言われています。

なんだか、オシャレですね。

ちなみに、きゃらぶきとは、きゃら煮(砂糖と醤油で佃煮のように煮た煮物のこと)からきていますが、さて、きゃらとはいったいなんなのか、と今回初めて疑問に思い、調べてみました。

きゃら(伽羅)とは、香の一種で、東南アジアが原産地だとか。

そこから、伽羅色とは、茶褐色のことをさす訳で。

伽羅色に煮た煮物ということなんですね。

キャラメルと関係があるかと思ったら、あまりないようで。キャラメルはポルトガル語。

でもどこかでつながってそうですよね。

色、似てるし(笑)。