『食の豆々知識』 Vol.93 トマト

2012年2月10日、「トマトにメタボ改善成分」というニュースが流れました。

京都大の研究チームが、「トマトに脂肪燃焼成分の効果ある」ということを発見したからです。

さて、今度の食品ブームはトマトです(笑)。

 

● トマトが売り切れ?

ニュースが流れた2~3日後、全国のスーパーマーケットの棚から、トマトとトマトジュースが消えました。

売り切れです。

あいかわらず、早いですね(笑)。

ことの始まりは、メタボリック症候群を改善するのに有効な脂肪の燃焼成分が、トマトにあることを京都大大学院農学研究科の河田照雄教授らの研究グループが解明し、10日付の米オンライン科学誌プラスワンに掲載されたことです。

河田教授らは、トマトの成分に、脂肪を燃焼させる遺伝子を活性化する「13-oxo-ODA」を発見。

「トマトの成分で直接的に脂肪を燃やす効果が見られたのは初めて」だそうです。

この「13-oxo-ODA」を加えた高カロリーの餌を肥満マウスに4週間与え、中性脂肪量と血糖値を測定。

高カロリーの餌だけを与えた肥満マウスと比較した結果、中性脂肪は、血中と肝臓ともに約3割少なく、血糖値は約2割低くなったとのこと。

これを人間の量に換算すると、「1食で生トマト2~3個、トマトジュースなら1食200mlくらい」で効果が出る計算になるといいます。

1日3回200mlのトマトジュースを飲めば、「13-oxo-ODA」を十分に摂取することができ、脂肪を燃焼できるということですが、トマトジュースには、塩分が含まれており、この量を摂取すると、1日分の塩分の半分以上を摂取してしまうので、お気をつけ頂きたい。

でも、1食トマト2個、あるいはそれ相当のトマト製品を食べ続けるって…。

かなり大変ですよね…。

 

● ところでトマトってもともと…。

ヨーロッパでは、「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。

「1日1個のりんごは医者いらず」のトマト版ですね。

もともと、トマトは、リコピンという成分を含んでいて、悪玉コレステロールを減らしてくれたり、血糖値の上昇を緩やかにしてくれたり、更には、美肌効果もあります。

夜トマトダイエット、なんて言葉もありました(あります?)し。

なので、今さら…という感じがしますが、ただ、今回は、直接脂肪を燃焼させる成分が、更に見つかったということ。

ちなみに、河田教授は、会見で、「脂肪をどっと燃やすものではない」「スリムになることを期待してもらっては困る」と念を押していました。

まだ、マウスの実験段階ですからとも。

やはり、今さら…の感はぬぐえない気が…。

 

● みんな流行好き?

「フードファディズム」という言葉をご存知ですか?

一時流行、流行かぶれ、と訳されるようです。

この考え方を紹介した群馬大の高橋久仁子教授によると、

①食品や栄養が、健康や病気に与える影響を過大評価し信じること。

②適量を無視した過剰摂取。

③食品に対する期待や不安の扇動。

だそうです。

よいと聞くと、つい飛びついてしまう感じや、なくなりそうだからつい買ってしまう感じですかね。

今回も、マウスの実験から人間の量に換算して、トマト=メタボ改善とマスコミが流し、それにより、過大な効果を期待して売り切れ現象が起きました。

まさに典型的フードファディズムですね。

そう考えると、ここ10年くらいの間に、さまざまな食品ブームがおこり、フードファディズムがおこりました。

私が覚えているのだけでも、ココア、赤ワイン、黒酢、にがり、豆乳、カスピ海ヨーグルト、寒天、納豆…などなど。

何か、はまったものございました?(笑)

当時は、ためして○ッテンとか、み○もんたさんとか、ある○る大事典なんかで取り上げられると、次の日のスーパーはすぐに売り切れ、とか、取り上げる食品を事前キャッチして、在庫を増やしたり、セールをしたりしていました。

しかし、納豆で、実験のねつ造が行われていたことが発覚し、一時特定食材の騒ぎはおさまったように思いました。

が、数年前、また、バナナがブームになりましたね。

最近では、トマトと一緒に、明治ホールディングスなどの機能性ヨーグルトも、話題になり、スーパーに行っても1人1ヶしか売ってくれませんでした(泣)。

前から、花粉症予防にいいと言われていたので、この時期はよく飲んでいたのですが、今回は、インフルエンザの予防にいいとのことで、なくなっちゃったようです。

でも、続けないと意味はないとわかっていても、続いているものってあまりないですよね(笑)。