『食の豆々知識』 Vol.94 たらこ・明太子

たらこと明太子、どちらがお好きですか?

辛いものが好きなのと、あのプチプチ感がたまらなく好きなので、私は断然明太子派です。

あ、私のことはどっちでもいいですよね(笑)。

春のこの季節、たらこや明太子をつかって、パスタを作ったり、ディップをつくったりすると、色が、ピンクできれいで、春らしく、うれしくなっちゃいます。

たらこや、明太子の旬は、実は今くらい。

おいしくって、色もきれいなたらこや、明太子料理、いかがですか?

 

● たらこは誰の子?明太子は誰の子?

たらこは、鱈の子。

たらはたらでも、真鱈ではなく、スケトウダラの卵巣を塩漬けにしたものが、一般的に「たらこ」と呼ばれるものになります。

じゃあ、明太子は誰の子?と子供に聞かれました(笑)。

明太子も、スケトウダラの子。

韓国では、スケトウダラを明太(ミョンテ)と呼ぶことから、韓国風に唐辛子で味付けしたものを、明太子と呼ぶようになったらしいです。

この、明太子を命名し、広げたのは、明太子で有名なふくやの創業者。

真鱈の産卵期が、12~2月なのに対し、スケトウダラの産卵期は2~4月。

つまり、たらこや、明太子の旬は、3~4月なんですね。

まだ学生で、食の知識もほとんどない頃、ヨーロッパで「たらこ」と呼ばれるものを見たときに、とても大きくて、びっくりした思い出があります。

実はヨーロッパでは、たらこと言えば、真鱈の子。

スケトウダラはほとんど食べないそうです。

真鱈は、全長1.5mほどにもなり、スケトウダラは、全長60cm程度。卵巣も真鱈のほうが、2倍近くになります。

私が見たのは、真鱈の子だったんですね。

ところで、ロシアでは、魚の卵のことを総じて「イクラ」と言います。

たらこも、いくら。

なんだかおかしいですね。

ちなみに、関東では、塩漬けのものを「たらこ」、唐辛子で味付けされているものを「明太子」と呼びますが、関西や九州地方では、塩漬けのものを明太子、唐辛子漬けのものを「辛子明太子」とよぶところがあるそう。

これも、ややこしいですね。

 

● 一腹って、1本?2本?

たらこや明太子は、一腹(ひとはら)、二腹(ふたはら)…と数えます。

産卵前のメスから取り出した卵巣は、2本で1組になっているからです。

なので、2本で一腹。

昔、レシピに一腹と書いてあるところを1本と間違えて料理してしまったことがありましたので、一応豆知識…。

 

● プチプチ感は、明太子特有なの?

生のスケトウダラの卵巣は、とてもやわらかくトロンとしています。

一粒一粒を包む膜がごく薄いため、生のまま食べても明太子のようなプチプチ感はありません。

塩漬けされたたらこも、やはり、明太子のような、プチプチ感はありません。

明太子は、唐辛子を主原料とした調味液につけて熟成させます。

この調味液の塩分と温度、熟成の時間に秘密があり、生の卵を調味液に漬け込むことで、塩分が卵に浸透し、中の水分を排出します。

また、卵膜を構成するたんぱく質が変化してかたくなります。そのため、あのプチプチ感が生まれるのです。

生のすじこを塩漬けにした「いくら」は、プチプチ感がありませんが、そのまま醤油と酒の調味液に漬け込んだ「いくら」は、はじけるようなプチプチ感が生まれるのと一緒ですね。

ちなみに、真鱈の卵巣では、調味液に漬けても、大きすぎてプチプチ感があまりでないそうです。

真鱈の子は、さっと煮た方がおいしいですね。

 

● 女性にうれしいコラーゲンは、皮にある?

たらこは、ビタミンやアミノ酸、ミネラルを豊富に含みます。

また、ビタミンEがピーマンの約9倍も含まれているといわれ、老化防止や生活習慣病の予防効果が期待されます。

アンチエイジングとしての効果もあり、美肌効果のナイアシンを豊富に含みます。

そして、料理では口当たりが悪いので捨てられてしまいがちな皮に、コラーゲンがたっぷり…。

捨てる皮を集めて、全部食べたいものです(笑)。

あ、でも、たらこや明太子は、塩分やコレステロール値も高いので、とりすぎにはご注意を。

 

昔は、今よりもたらこや明太子を真っ赤に着色していたので、「紅葉子(もみじこ)」と呼んでいたそう。

桜じゃなくて紅葉?じゃ、今の季節らしくはなかったんですね…。

ところで、フランスでは子宝に恵まれない夫婦は、たらことマスタードを合えてパンと一緒に食べるとよい、と言われているそうです。

子宝、から、卵巣を食べるのは、わかりますが、なぜ、マスタードまで指定なのか??