『食の豆々知識』 Vol.97 ココナッツ

昨年くらいから、ココナッツウォーターという飲み物が注目されています。

マドンナやレディ・ガガなど超有名ハリウッドセレブたちが飲んでいると週刊誌などで騒がれ、全米で火がついたとか。

全米で人気になれば、日本にももちろんやってきます。

うちの子供たちに飲ませたところ、豆乳を始め乳化されている白色系の食べ物、飲み物が苦手な息子は、初めは嫌がっていましたが、飲むと、「おいしい」と、意外に気に入っていました。

逆に、すぐに飛びついた甘いものが大好きな娘は、飲んですぐ、「いらない」と。

どうも、2人ともココナッツミルクのようなものを想像していたようで(パックにはココナッツの絵が描いてあるからでしょうか、コップにあけると透明なのですが)、イメージと違ったみたいです。

ということで、今回は、ココナッツについて。

 

● ココナッツジュースとココナッツミルクはどう違うの?

ココナッツは、ココヤシの木の実で、薄い緑色した実と、毛むくじゃらの茶色い実があります。

種類が違うわけではなく、薄い緑色した方が、未熟果で、毛むくじゃらの方が熟果です。

生育産地では、未熟果の実を買うと、包丁で上を切り、ストローをさして、中の透明な液=胚乳汁を飲ませてくれます。

これが、ココナッツジュースです。

そして、上記のココナッツウォーターは実は、このココナッツジュースのことなのです。

熟果を買うと、中から白いかたまりを出してくれます。

これが、ココナッツの胚乳の部分で、果肉と呼ばれるところです。

未熟果では、薄いクリーム色のゼリー状の層をしていたところが、熟すにつれ、胚乳汁を吸収して、白いかたまりになっていきます。

ココナッツミルクは、このかたまりからつくります。

胚乳を細かく粉砕して、水を加えてよくもみ、胚乳のエキス分を水にもみだします。

そして、この液体を搾り取ると出来上がり。

ココナッツクリームは、このミルクの濃度が濃いもののことです。

が、ココナッツミルクにも商品によっては濃度さがあり、決まりはないようです。

ココナッツジュースと言うと、ココナッツから作ったジュース、ココナッツミルクは、ココナッツを牛乳で溶いたもの、というように思われていることもあるようですが、全く違うんですよ。

ところで、このココナッツウォーターと呼ばれる、ココナッツジュース、天然のスポーツドリンクと言われるほどミネラルが豊富なんです。

生理食塩水が手に入らない地域では、このココナッツジュースが静脈点滴として用いられることもあるとか。

コップ1杯のココナッツジュースは、普通のスポーツドリンクよりも電解質を含んでいるうえ、1本のバナナよりも多くのカリウムが入っているので、デトックス効果もあり。

さらに、カロリーは、スポーツドリンクの1/6と低カロリー。

栄養豊富なのに脂質は含まれず。

これは、ハリウッドセレブたちが、ココナッツウォーターを片手にランニングしますわな(笑)。

 

● ココナッツの粉は、溶けばココナッツミルクになるの?

ココナッツミルクパウダーという商品があります。

ココナッツミルクを粉にしたもので、お湯を加えて溶くとココナッツミルクになる、いわいるインスタントココナッツミルク。

缶よりも、保存しやすく、また、お湯の量で濃度が調整できます。

ややコク不足ではありますが、逆にくせがなく、お菓子作りには、こちらがいいと言う場合も。

ちなみに、ココナッツロングや、ココナッツファインと売られているのは、ココナッツの熟果の胚乳を乾燥させてもの。

ロングは細長く、ファインは、パン粉状のもののことです。

ややこしいのは、この乾燥させたものをパウダー状にしたココナッツパウダーがあります。

これは、上記のココナッツミルクパウダーと違い、お湯とまぜても溶けず、ミルクにはなりません。

ネット上での質問の書き込みに対し、ココナッツパウダーとココナツミルクパウダーを間違えている答えが意外に多いことにびっくりです。

間違わないようにご注意を。

 

● え?ナタデココってココナッツからできるの?

ナタデココが大ブレイクしたのは、もう20年ほど前の話になりますが。

そう、ナタデココは、ココナッツからできているんです。

ココナッツジュースにナタ菌といわれるアセトバクター・キシリナムを加えて発酵させると、表面からジュースが凝固していきます。

これをさいの目に切ったものが、ナタデココです。

ナタデココとはスペイン語で、「ナタ」は「液状に浮かぶ皮」、「デ」は英語で言うof、「ココ」はココナッツの意。

独特な食感がなんともいえないナタデココ、近年姿を消してしまいましたが、たまにスーパーなどで見かけると、とっても懐かしい気分になってしまう私です。

ところで、サクサク粉って知っていますか?

小麦や穀物アレルギーの代替食品として、よく使用されているでんぷんです。

これは、やしの幹から収穫されるものですが、やしは、やしでも「サゴ椰子」。

ちなみに、ココナッツは、ココ椰子。

近いですが、やしの種類が違うんですね。

ココナッツミルクやココナッツオイルは、アレルギーの代替食品として、よく使用されています。

ココナッツミルク、と記名されているので、乳製品ですかとよく聞かれますが、ピュアなココナッツミルクには、乳製品は使用されていません。

また、ココナッツオイルは、アレルギーによいとされるαリノレン酸系の油です。

ナッツ類のアレルギーを持っていても、ココナッツはでない、ということが多いのですが、ココナッツにもアレルギーがある場合もありますので、気をつけてください。

ちなみに、うちの息子は、重度のピーナッツアレルギーですが、カシューナッツにも反応します。

でも、アーモンドは全然平気。

娘は、ピーナッツは食べられますが、アーモンドやカカオに反応します。

やっかいですね~。

ま、ココナッツは2人とも平気なので、乳製品は、豆乳かココナッツミルクで代用。

新しい発見があっておもしろいですけどね(笑)。