『食の豆々知識』 Vol.102 からし

おでんがおいしい季節ですね~。

おでんには、「からし」が合いますね~。

この間、お友達のママが、「うちは、国産がいいから、『和がらし』を使ってる」と言い出しました。

こらこら。

和がらし=国産という意味ではございません。

ということで、今回は、「からし」の話。

 

● 和がらしと洋がらし、何がちがうの?

一般に「からし」といえば、「和がらし」のこと。

アブラナ科の植物、カラシナの種子を原料として作られます。

カラシナの種子そのものを食べてみても、それほど辛さは感じませんが、水と合わさると、酵素の働きで辛味成分が生成されます。

酵素が働きやすいように、この種子を砕いて粉にしたものが、「粉からし」、これを水で練ったものが、「練りからし」です。

洋がらしは、いわゆる「マスタード」の意で使用される場合もありますが、和がらしと比べ、辛味を抑えた粉からしや練りがらしを指す場合がほとんどのようです。

この場合、種子は、同じカラシナでも種類が違う、辛味成分が少ないシロカラシの種子が使用されていたり、熱を加えて辛味をマイルドに仕上げている他は、風味などにさほど差がないため、和がらしの代用は可能です。

しかし、マスタードは、辛味成分の少ない種子を使用し、更に酢や糖類を加え、食べやすく調味されていますので、和がらしの代用、という訳にはいきません。

ちなみに、からしに使用される種子のほとんどは、カナダから輸入されています。

つまり、和牛=国産ではないように、和がらし=国産とはいえません。

また、「和」がらしと、さも、日本固有の食材であるかのように呼んでいますが、カラシナはもともと中央アジアの原産の植物であり、インドや中国を通して伝わってきたもののようです。

 

● デジョンマスタードって何?

「レシピにディジョンマスタードって書いてあったんだけど、粒マスタードのこと?」と質問を受けました。

マスタードというと、何をイメージしますか?

ホットドッグにかかっている、黄色いからし、それが一般的に言われるマスタードです。

イエローマスタード、アメリカンマスタードなんて言い方もします。

辛味はほとんどなく、ターメリックで鮮やかな黄色に色づけされ、マイルドな酸味を持っています。

ディジョンは、フランスの地方。

マスタードの生産で有名です。

ここの伝統的なレシピに沿って作られたマスタードだけがディジョンマスタードと呼ばれます。

シロカラシの皮をのぞいてすりつぶし、白ワインやビネガーと練り合わせて作るので、イエローマスタードほど鮮やかではありませんが、明るい黄色と独特な風味があるのが特徴です。

ちなみに、これはペースト状であり、粒マスタードではありません。

粒マスタードは、ブラウンマスタードを細かく粉砕せず、種皮も使用し作られます。

酵素が作られないため、辛味がほとんどなくマイルドで味を楽しむマスタードです。

 

● 粉からしってどうやって使うの?

私が小さい頃は、からしといえば、S&○の黄色い缶に入った粉がらしでした。

しかし、今は、チューブ入りの練りからしが市場のほとんどを占めているそうです。

粉からしは、水で練ってもできますが、40℃程度の湯で練ったほうが、酵素がよく働き、辛味が強くなります。

また、よく練ったほうが、辛味が増すそうです。

また、水分を加えた直後は、苦味が強く感じますが、しばらくすると、苦味が減り、辛味が増してきます。

なので、ラップなどで蓋をし、しばらく置いてから、使用するようにします。

練るときには、水分を少なめにしておき、使用するときに、だしや、煎り酒などで、もう一度、好みの固さにのばして、使用するのがおすすめです。

しかし、練った粉からしの辛味成分は、揮発しやすく、日持ちはしません。

そのため、チューブ入り練が裸子には、食塩や酢、油、香辛料などが、添加されています。

やはり、からしの風味を味わいたいのであるなら、手間はかかりますが、粉からしがおすすめです。

ちなみに、粉わさび、というものもあります。

粉わさびは、粉からしと違って、本わさびを粉にしたもの、というよりは、ホースラディッシュやワサビダイコンの粉末に着色していることも多いようです。

湯で練ると、風味が飛んでしまうので、水で、ゆっくりと練るようにします。

チューブ入りの練りワサビより、辛味や香りは強いようです。

ただ、わさびは、やはり、生をすりおろしたのが1番ですね…。