『食の豆々知識』 Vol.105 ぼたもち・おはぎ。

温かい日が何日か続くと、このまま温かくなるかなぁとつい期待をしてしまいますが(寒さに弱い私…)、まだまだ、寒いですね。

暑さ、寒さも彼岸まで。早くお彼岸が来ないかな。

お彼岸といえば、小さい頃は、祖母と一緒に山のようなおはぎをお彼岸につくり、「夕飯も朝ごはんもおはぎ」かのような勢いで食べた思い出がありますが、今は、さすがに核家族にもなり、山のようなおはぎはつくれません。

ということで、昔を懐かしみながら、今回は、お彼岸のお供え物、ぼたもち・おはぎ。

 

● まずは、基本。お粥の炊き方。

①米を洗い、水気をきって鍋に入れる。水を加え、蓋をせずに、火にかける。

②沸騰したら、塩を加える。煮立つか煮立たないかの火加減で、40~50分静かに炊く。

③上澄みが、米すれすれにかぶるくらいまで煮詰まれば炊きあがり。

ポイントは、まず、米を水が澄むまでよく洗うこと。

お粥は、炊く時間が長いので、事前に給水させる必要はあまりありません。

蓋をしないで、炊くこと。

沸騰したら、すぐに火を弱めること。

そして、絶対にかきまぜないこと。

かきまぜると、粘りが出ます。

また、焦げやすくもなります。

糊のようなお粥は、おいしくありません。

おいしく炊けたお粥は、米の一粒、一粒が形くずれることなく、ふっくらとふくらみ、さらりとしてなめらかな口あたりです。

 

● ぼたもちとおはぎは何が違うの?

春のお彼岸に食べるのが、「ぼたもち」、秋のお彼岸に食べるのが、「おはぎ」。

季節によって呼び名が違うだけで、基本は一緒です。

小豆の粒を、春のお彼岸の花、牡丹に、秋のお彼岸の花、萩に、見立てたようです。

ぼたもちには、「餅」が名前につくから、もち米で、おはぎはうるち米で作るという話もあるような、ないような。

違いを強いて言うならば、ぼたもちは、牡丹の花をかたどって丸く大きく豪華に作られ、おはぎは、萩の花をかたどり、小ぶりで長めに丸められて作られたくらいでしょうか。

また、小豆の収穫期は秋ですので、やわらかい小豆をあんにできるおはぎは、皮もやわらかいので一緒につぶしたつぶあんで、年を越して春につくるぼたもちのあんは、皮が固いのでこしあんだったということも。

でも、最近では、あまり大きな和菓子が好まれなかったり、春でもやわらかな小豆が出回るようになったりで、大きさも、つぶあんか、こしあんかも決まりはほとんどないようです。

さらには、最近では、名前も年中、おはぎとして通すお店が圧倒的に多いようです。

 

● 半殺しって怖いけど何?

今日のぼたもちは、半殺しで。

なんのことだかわかりますか?

これは、米のつぶし加減のことをいっているのです。

半分くらいつぶしたものが、半殺し、全部つぶしたものが、皆殺し。

米ではなく、あんこのことをいう地方もあるようです。

ちなみに、米は、もち米でもうるち米でも、お好みで。

合わせているところが多いですね。

「客人は、半殺しにしようか、手打ちにしようか」とは、落語のネタ。

おはぎにするか、手打ちそばでもてなすか。

もとは、静岡や、東北、北海道の言い回しのようですが、落語のネタにもなり、どこ地方の言葉とは決めがたいようです。

 

● 小豆とささげは一緒?

よくお赤飯には、ささげを使用します。

ささげは、小豆とは品種が違います。

でも、これ関東だけらしい。

小豆は、煮たときに皮が破れやすいため、「腹切れする豆は、切腹に通じる」として武士の間で嫌われ、特にお祝い事のお赤飯には使用されなかったとのこと。

江戸っ子ですねぇ。

一方、ささげは、煮ても皮が破れづらく、煮崩れしないからだそうです。

小豆の方がやわらかく、関東以外の地方では、お赤飯にも小豆が使われている地方も多いようです。

ちなみに、大納言は、小豆の一種。こだわりの小豆といったところでしょうか。

 

上記、大きな間違いをしました。

春のお彼岸にお供えするのが「ぼたもち」、秋のお彼岸にお供えするのが「おはぎ」、でした。

食べるのではなく、お供えするものですね、もとは(笑)。

お彼岸には、お墓参りに行こうっと。