『食の豆々知識』 Vol.109 鉄分②

人間ドッグの結果で、貧血が出てしまい、1か月後の再検査となってしまいました。

と、先月お話しまして、1か月後、再検査に行ってまいりました。

人間ドッグからの1か月、鉄分をよくとるようには心がけていたのですが、数値は変わらず。

先生に、こりゃ、薬の飲まなきゃダメだね、と、鉄剤を処方されてしまいました。

鉄剤は嫌いなんで、できるだけ避けたかったのですが、この数値の悪さは、悪すぎると…。

で、朝晩50mgもの鉄剤を飲み続けて2週間、あさって、また、再々検査に行ってまいりますが、さて、数値は、正常になっているのでしょうか。


結果は出ていないんですが、今回は、前回の続き、鉄分で。

 

● 1日1mgしか使わないのに、なんで1日10mgも必要なの?

食品に含まれる鉄分には、肉や魚などの動物怜食品に多い「ヘム鉄」と、野菜や海草などの植物性食品に多い「非ヘム鉄」の2種類があります。

ただし、動物性食品に含まれる鉄がすべてヘム鉄という訳ではなく、総鉄量のうち豚肉、鶏肉、魚類では30~40%、牛肉、羊肉では50~60%がヘム鉄だそうです。

また、卵は、非ヘム鉄の方が多いことがわかっています。

鉄の吸収率は、ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりもかなり高く、健康な人なら、ヘム鉄の吸収率は15~25%、非ヘム鉄の吸収率は約2%です。

つまり、1日に使用される鉄分が1mg(平均)であるとするならば、動物性食品であれば、その10倍、約10mgの鉄分を摂取しなくてはならず、植物性においては、50mgの鉄分を摂取しなくてはいけない訳です。

ただし、非ヘム鉄の吸収率は、とった食品の影響を受け、吸収率は最高4%まで高まることがわかっています。

また、月経や胃・腸の疾患のため、血液を平均以上に喪失している場合は、その分更に多く摂取しなくてはいけません。

 

● じゃ、何と一緒にとったらいいの?何と一緒にとっちゃいけないの?

非ヘム鉄は胃酸で、ヘム鉄と同じ形に還元され、吸収できるようになります。

そのため、胃酸が少ない人、胃の弱い人は吸収が悪くなります。
酸味のあるものと一緒に取ると、胃酸の分泌がうながされるため、吸収率はよくなります。

また、ビタミンCと一緒にとっても、吸収率は高まります。

更に、動物性たんぱく質を一緒に取っても、吸収がうながされることがわかっています。

また、逆に、鉄の吸収を抑える成分と一緒にとらないようにすることも必要です。

タンニンが含まれる飲料、緑茶やコーヒー、紅茶は、食事中一緒にとらないようにしましょう。

また、サプリメントで食物繊維をとったり、シュウ酸の多い加工食品、スナック菓子を多く摂取したりすると、鉄分は吸収しづらくなります。

ヘム鉄は加熱調理によって、分解・減少するため、旬の鮮魚は生食で摂取することが望ましいです。

煮る場合は、煮汁ごと食べると無駄なく摂取することができます。

鉄製の調理器具(鉄鍋など)を使用するのも鉄分を多く摂取する1つの手です。

 

成人女性の10%は、鉄欠乏性貧血であり、40%はその予備軍であるといわれています。

しかし、いざ、12mgの鉄分を毎日とろうと思うと、なかなか、取りづらいものです。

鉄分が多いと言われている豚レバーをつかったレバニラ炒めを食べても、1日の必要量の半分もいきません。

しかも、レバーやうなぎを毎日食べる訳にもなかなかいきません。

ひじきの鉄分が多いことも知られていますが、乾燥ひじきの100gに対する鉄分の量がずば抜けて多いのであって、普通に1食として食べるひじきには1mg程度しか含まれていません。

ですから、レバーやうなぎをのぞき、一般的に多いと言われている食品(ひじきやしじみ、大豆製品、ほうれん草、ごまなど)の1食量は、1mg程度だと考え、1日でその多い食品を吸収のよい食品と一緒に、10品ほど食べるようにするとよいようです。

ちなみに、おやつは、ココアかチョコレートがおすすめ。

でも、鉄分に気を取られ、塩分や糖分のとりすぎには注意しましょう。