『食の豆々知識』 Vol.114 無形文化遺産

12月4日、「和食・日本の伝統的な食文化」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることが正式に決まりました。

世界文化遺産に登録された富士山をきれいに保っていくのと同じように、和食の伝統・文化を守り伝えていかなくてはならないという、重大な責任が生まれ、多々問題も出てはきますが、それでも、富士山に続き、和食が世界に認められたということは、うれしいですね~。

ということで、無形文化遺産の話。

 

● 無形文化遺産ってなに?

そもそも、無形文化遺産って何?

世界遺産と何が違うの?

と思いませんか?

私は、まず思ったんですが(笑)。

無形文化遺産と世界遺産は、ともに、ユネスコという国連の専門機関によって、登録・保護されています。

世界遺産は、「顕著な普遍的価値」を有する遺跡・建造物・景観・自然などの「有形の不動産」を対象とし、これに対して無形文化遺産は、「交渉による伝統および表現、芸能、社会的慣習、儀式および祭礼行事、自然および万物に関する知識及び慣習、伝統工芸技術」つまり、「実体・形のないもの」を対象としています。

 

● あいまいな基準。

さて、サービス業として、お客様にうそをつくことは、問題外だとは思いますが、そもそも、あいまいな基準なのも、問題なのではないかと思います。

食品表示法は、主に生鮮食品や加工食品を対象とする「JAS(日本農林規格)法」、アレルギーや添加物などを表示する「食品衛生法」、栄養成分や塩分などを表示する「健康増進法」で規制されています。

しかし、これらは、飲食店などの食事や対面販売においては、対象外とされています。

これまでこうした規制がなかったことについて、消費庁幹部は「対面販売なので、その場で原産地などについて店員に尋ねれば分かると考えていた」と説明していました。

その店員も、しっかりと把握していたと思えませんが。

ところで、今年の6月には、食品の表示法を統一することが可決し、2年後には施行することが決定しました。

しかし、この案にも、外食の表示については、対象外でした。

先日、消費庁は今後、この改定までにも間があると考え、あらかじめ、上記3法のいづれかに外食のメニュー表示の規制を盛り込むことを検討すると発表しました。

必要なことであると思いますが、食品表示義務が変わった時に、食品メーカーが大変であったように、この改正で、飲食店の現場の混乱も大変なものになると予想され…。

 

● 他にどんな食が登録されているの?

「食文化」が初めて無形文化遺産になったのは、2010年、「フランスの美食術」でした。

その後、地中海料理(スペイン・イタリア・ギリシア・モロッコの4か国の共同申請)、メキシコの伝統料理、トルコの伝統料理のひとつ「ケシケキ」が登録され、和食は、5番目となります。

今回、「キムチ作りの文化」「古代グルジアの伝統的な発酵ワイン作り」「トルココーヒーの文化と伝統」の計4つが加わり、8種類の食文化が登録されたことになりました。

登録内容で、面白いと思ったのが、フランスの「特定の料理ではなく、より美味しく食事をするという美食の慣習」。

なるほど。これ、すごくないですか?

 

● 担当は文化庁なのに、農水省ががんばったのはなぜ?

無形文化遺産を担当するのは、文化庁。

しかし、HPをみても、登録申請を先導していたのは、農林水産省。

これは、「世界に認められることで、和食を継承する農村の振興につなげたかった」かららしい。

「食」の人気について、日本貿易振興機構が調べた結果、日本料理が1位、イタリア料理が2位だったそうです。

しかし、11年の農林水産物・食品の輸出額は、日本の51億ドルに対して、イタリアは434億ドル。

確かに、現在、普通のスーパーで、イタリア食材が簡単に手に入りますが、海外で日本の食材はなかなか手に入りません。

もっと世界で和食の文化が広まるとともに、経済も活発になるといいですね。

 

● 和食のどんなところが登録されたの?

ところで、日本が登録申請した内容は、

「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」

「栄養バランスに優れた健康的な食生活」

「自然の美しさや季節の移ろいの表現」

「正月などの年中行事との密接な関わり」

今までの登録では、「社会的」「文化的」「教育的」内容が重視されることが多いように思いますが、今回のポイントは「栄養的」。

「一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。

また、『うま味』を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満防止に役立っています」だそうです。

そんな中、小学生に聞いたお母さんの作る好きな料理は、1位ハンバーグ、2位カレー、3位スパゲッティ。

だしは、顆粒だと思っている子供が増え、味噌汁の作り方がわからない成人が増え、早期の成人病が増え…。

疑問・問題が山積みのような気がします。

フランスや地中海料理の登録内容には、「料理のマナーや知識・味覚の教育」「食育プログラム」などが含まれています。

日本も、今までは自然に受け継がれてきたものを教育として、守っていかなくてはいけないのかもしれません。

ところで、アレルギーがひどかったため、3歳まで、完全にダシをきちんととり、化学調味料を与えず、すべてを手作りで育ててきた長男。

それがよかったのか、「今日のだし、いつもと違わない?」など、うちで1番味がわかります。
しかし、保育園の卒園時、みんなの前で先生に聞かれたインタビュー「お母さんのごはんで、1番好きなものは何?」に答えたのは、「まぐろ!」…。

先生が気をつかって、「次は?」の問いに対し、答えは「納豆!!」…。

ま、いいんですけどね。

あたし、いらないんじゃ~ん?(笑)