『食の豆々知識』 Vol.120 梅仕事

東京も梅雨に入りました。

入梅ですね。

雨はあまり好きではありませんが、入梅という言葉は、なんだか趣があって好きです。

梅に入るなんて、粋じゃないですか。

そうです、梅の季節がやってきました。

梅仕事の時期です。

6月頃、その年に収穫した梅の実を使って、梅酒や梅干しなどをつくることを梅仕事と言います。

梅仕事しましょうか、なんて、ちょっといいですよね。

今回はなんだかちょっと興奮気味ですが、ただ単に梅が好きなんです(笑)。

はじけそうな爽やかさをもった青い梅も、ピンクにほんのり熟されたかわいらしい梅も、水に浸けたときに、水をはじいてきらきらと輝いている美しい梅も。

そして、のんびり、ひとつずつ丁寧に、へそをとる作業も…。

ということで、先週末は、梅酒と梅ジュースを仕込みました。

今回は、梅仕事のちょっとした疑問の話。

 

●青い梅は食べたら死ぬの?

梅の種や果肉は、種を守るため、「青酸配糖体」が含まれています。

「青酸配糖体」とは、糖と青酸が結合した物質です。

青酸という名前は、なんか聞いたこと、ありますよね。

人間の体内に入ると呼吸困難や目まいなど深刻な影響がでて、最悪の場合、死亡することもあるそうです。

ちょっと、恐いですね。

ただ、青梅に含まれる量はごくわずか。

大人ならば、100個、子供ならば30個を一度に食べないと深刻な影響はでないそうです。

ということで、「白雪姫」の毒りんごのように、一口食べると倒れてしまう…ということは、ないようです。

ただ、幼い青梅は要注意。

特に種には青酸配糖体が果肉よりも20倍ほど含まれているそうで。

木になったばかりの柔らかい青梅を種ごと子供が食べて死亡したという記事が昔ありました。

たぶん、「青梅を生で食べると毒がある」とされる青梅は、このできたての幼い青梅のことなのでしょうね。

熟成されると分解されていくので、熟した梅や、干したり漬けこんだりした梅は気にしなくて大丈夫です。

ちなみに、この毒は、アンズやビワ、チェリー、リンゴなどバラ科の果物にも含まれています。

 

●青い梅で梅干しはできないの?

どちらかというとできません。

塩分で、熟成がすすまなくなり、固く青いままの梅干しになります。

また、水分もでづらいので、塩漬けの段階で、発酵したり、腐ってしまったりと失敗してしまうことが多いようです。

また、逆に、熟した梅で梅酒は作ることは、どちらかというとできます。

こちらは、酸味が少なく、濁った甘みの強い口当たりのよい梅酒が出来上がります。

私は、青梅の爽やかさや酸味、すっきりとした梅酒が好きですが、お好みですね。

ただ、未熟な梅や、熟しすぎた梅は、おすすめできません。

梅のエキスが抽出されなかったり、発酵してしまったりするからです。

 

●梅干しの塩分は何%?

昔ながらの梅干しは、18%と言われています。

一般に普通に漬けると15~20%くらいです。

ただ、この梅干し、2Lサイズのものを食べると1ヶで3gにもなってしまいます。

日本人の理想の塩分摂取量は6~7gと言われていますので、1ヶで1日の半分の塩分をとってしまうことになるわけです。

こわっ。

なので、最近は、減塩が人気。

3%の塩分の梅干しなんかもでています。

ただ、普通に塩だけで梅干しを家でつくろうとしたら、12%が限界。

それ以上低くすると、梅酢があがってこなかったり、途中で腐ったりしてしまいます。

ちなみに、2Lサイズは、約15g。

減塩ではない小梅でがまんするか、減塩の梅を食べるか。

悩みますね~(笑)。

ところで、私、初めに、梅のへそをとったと申しましたが。

もちろん、梅には、へそはありません。

ヘタがついている部分です。

これ、実は「ほし」という名前があるそうです。

でも、ついつい、「へそとるよ~」と言ってしまうんですよね…。