『食の豆々知識』 Vol.127 ゆり根

年末になると見かけるようになる食材がいくつかありますが、ゆり根もそのひとつ。

たくさんの燐片(りんぺん)が重なっている形から、「百合」の字があてられたとか。

おせち料理も、この重なりから「子孫繁栄」や「和合=平和」の意。

ということで、今回は「ゆり根」。

 

●咲いているゆりの根っこが食べられるの?

ゆり根は、ゆりの鱗茎の部分です。

根という字が使われていますが、細かく言うと、根ではなく、茎が変化した部分。

つまりは、球根です。

花が咲いてしまっている球根は、すかすかで食べられないでしょうね(笑)。

栽培は、7年もかかり、毎年球根の引っ越しをしないといけない、大変手間のかかる食材だそうです。

食用には、オニユリ、コオニユリなどが代表的。ヤマユリも食用ではありますが、苦みが多少強いそう。

ゆり根の95%は、北海道で生産されています。

10月から年末にかけて収穫され、そして、そのほとんどが、関西を中心に道外にでまわります。
京都は、丹波産が有名です。

こちらは、8月から秋に収穫されます。

収穫してから2~3ヶ月、寝かせた方が甘みが増すため、旬は、秋から2月頃。

いずれも、需要が高まる正月前にピークを迎え、価格も最も高くなります。

お正月をすぎたとたんに一気に価格が下がりますが、味が落ちる訳ではないので、1~2月もおすすめです。

 

●ゆり根は身体にいいの?

ゆり根は、野菜の中では、カリウムの含有量がトップクラスです。

カリウムは、高血圧の予防をしてくれます。

また、食物繊維も豊富で、過熱によるビタミンCが紛失されづらい野菜の一つです。

漢方でも、古くから珍重され、滋養強壮、利尿、咳止めの他、精神安定、ストレス解消などの効果があるそうで、栄養たっぷりの食材なんです。

 

●ゆり根のおすすめ調理法

ゆり根は、茹でたり蒸したりして、茶わん蒸しの具、含め煮、揚げ物などさまざまな調理法で使用されます。

そのゆり根。

1枚1枚はがした鱗片を、花びらのように、ナイフで削り、さっと茹でてから梅酢に漬けると、あら不思議。

切り口にだけ、ほんのり赤く色づきます。

先に、梅酢や、食紅などに浸けておいてから、火を通しても大丈夫です。

日本料理で、飾り用によく使用されますが、これからの時期、春を意識した料理や、ひな祭りなどの料理にぜひ。

華やかになりますよね。

ちなみに、茹ですぎるとあっという間にとろとろに溶けてしまいますので、茹ですぎには注意です。

お正月には、ゆり根を煮ます。

里芋とはまた違った、ホクホクした食感が私は好きなのですが、他のおせち料理と比べ、親戚中が集まっても、何人かにしか売れません。

なので、いつも、ちょっとだけにします。

そして、2月頃。

安くなったゆり根をたっぷりと買い、ポタージュを作ります。

お正月にはあまり見向きもしなかった子供や主人に、「これ、おいしいね~、何のポタージュ?」と聞かれて、ふふんとちょっと鼻高くなる私です(笑)。