『食の豆々知識』 Vol.131 そら豆

先日行ったお蕎麦屋さんで、季節のメニュー「蚕豆の天ぷら」。

「これなんて読むの?」

「蚕(かいこ)?気持ち悪くない?」と子供たち。

…。

う~ん。

確かに、蚕(かいこ)の天ぷらは気持ち悪いかも…。

ということで、今回は旬の「そら豆」の話。

 

●なぜ蚕豆?

そら豆は、さやが天(空)に向かって育つことから、「そらまめ」と呼ばれるようになったと言われています。

同じ理由で、「天豆(てんまめ)」とも呼ばれます。

また、蚕が作るまゆの形に似ていることから、「蚕豆」と書かれるようにもなったそうです。

ので、「空豆」も「蚕豆」も、また、「天豆」も「そらまめ」と読ませたりします

(天豆は、てんまめと読ませることが多いようですが)。

でも、私は、あまり、「蚕」というイメージがよくないので「そら豆」とひらがなで書く方が好き(笑)。

メニューも、蚕豆よりも天豆の方がイメージがいい気がしますが。好みですかね。

ちなみに、一粒の大きさが一寸(3cm)くらいなので、「一寸豆」とも呼ばれたりします。

 

●そら豆って栄養あるの?

そら豆は豆類ですので、良質な植物性たんぱく質を含む他、水分が少なくミネラルやビタミンB群などの成分が凝縮されているのが特徴で、栄養たっぷり。

また、薬膳の考えでも、そら豆は重宝され、利尿作用が高く、このジメッとした時期の身体の湿気をとりさってくれるため、むくみなどにも効くと言われます。

胃腸を強くし、疲労回復などの効用もあるそうです。

そして、身体を冷やすでも、温めるでもない食材ですので、誰でも用いることができるとか。

初夏や梅雨のこの時期、身体がだるいなと思ったら、とりあえず、そら豆。

おいしく、身体にいいなんて、そら豆は有能選手。

あ、だから、この時期、夕飯にそら豆の塩ゆでがちょくちょくでるのは、手抜きじゃないんですよ(笑)。

 

●豆板醤もそら豆って知ってました?

皮つきのまま甘く柔らかく煮た「おたふく豆」や皮を取り除いて煮た「富貴(ふき)豆」は、そら豆ということは、わかるかと思いますが。

中華料理の辛み付けに不可欠な豆板醤も、そら豆から作っています。

そら豆と味噌、唐辛子をまぜて発酵させたものですね。

だから、実は身体にいい調味料なんです。

ちょっと塩分が多いのが気になりますが…。

旬はとれる場所によって異なりますので、関東は4~6月。

鹿児島から東北の産地まで含めると、1~7月くらいまでが旬となります。

出初めの皮のやわらかいものは、皮も食べられます。

ただ生のそら豆は「おいしいのは3日だけ」と言われるほど鮮度の低下が早いので、できるだけさやのまま、そして購入したらすぐに食べることがおすすめ。

ところで、豆の上についている黒い筋、何ていうか知っていますか?

「お歯黒」です。

確かに…。

これを知ったとき、にやっと笑ったお歯黒の顔を想像して、つい笑ってしまった私でした。

なかやみわさんの絵本で「そらくん」シリーズがあります。

かわいくって、大好きな本なんですが、その中で、そらまめくんが、自分のさやをベッドにして寝るんです。

おおきくてふわふわのそらまめくんのベッド。

私も何度そのベッドで寝てみたいと思ったことか…。