『食の豆々知識』 Vol.135 菊
9月9日は、五節句のひとつ「重陽(ちょうよう)の節句」です。
重陽の節句、ご存知ですか?
五節句は、1月7日(人日の節句)、3月3日(桃の節句)、5月5日(端午の節句)、7月7日(七夕の節句)、そして、重陽の節句の5つ。
人日の節句と言われると、なんだかよくわかりませんが、七草粥を食べるというと、あぁ、と思いますよね。
となると、なんだかやはり重陽の節句だけ薄れつつあるように感じます…。
重陽の節句は、別名「菊の節句」。
今回は、重陽の説明はおいといて、「菊」の話。
●その辺に咲いている菊も食べられるの?
食用菊と呼ばれるものは、観賞用の菊の仲間で、食用に苦みを少なく、食べる部分の花びらを大きくなるよう改良されたものです。
なので、そこら辺に咲いている菊も、食べようと思えば食べられます。
苦いと思いますが。食べたことないので、よくわかりません(笑)。
また、食用に育てている訳ではないので、食用ではない害虫薬が使われているかもしれません。
ということで、食べられるとは思うけれど、食べない方がいいと思います…。
さて、食用菊には、いくつかの品種があります。
刺身などのつまに添えられている小さな黄色い小菊。
これは、年間通して栽培されています。
また、普通の黄色い菊も通年栽培されているようです。
「もってのほか」「カキノモト」(これらは同じ新種、とれる場所によって名前が異なる)などの紫色の大車輪や黄色の「阿房宮(あぼうきゅう)」(これはちょっと小さめの花)などは、9月~12月初旬くらいに出回るそう。
菊の旬は、秋といえそうですが、重陽の節句の時期にはちょっと早い感が…。
だから、薄れてきたんじゃないかとも言われています。
今は、普通に手に入りますけどね。
●生で食べられるの?
食用菊は、改良はされていますが、やはり、苦みや渋みが多少残り、くせがあるため、一般には、茹でてから使用します。
お湯に酢を入れて茹でるのは、色をきれいに仕上げるためです。
特に紫の菊の場合は、入れないと色が悪く仕上がります。
こないだのコラムの内容ですね。
紫キャベツと一緒。
酸性で色鮮やかになり、アルカリ性で緑になります。
茹でたら、冷水にさらします。
これも、色止めするためとアクをとるためです。
しかし、最近では、生で食べるエディブルフラワーが出てきたこともあり、更に食用菊も改良され、生で食べてもおいしい(?)、平気(?)になってきたように思えます。
生で食べる場合も、そうではない場合も、花びらをむしり、よく洗ってから使用するとよいかと思います。
●菊は栄養があるの?
刺身のつまに、よく、小菊が飾られていますよね。
しそや大根同様、菊には、殺菌作用があるからです。
昔の人は、なんで、そんなことがわかったんでしょうね~。
すごいですよね~。
また、解毒作用や発がん予防効果や悪玉コレステロールを押さえる効果などもあるそうです。
中国では、邪気を払い、長寿の効能があると考えられ、重陽の節句には菊の料理が並びます。
薬膳としても、身体の熱をとりさり、潤いを与えてくれるとされています。
そう考えると、暑かった夏から秋になるこの9月には、身体にとってうれしい食材で、重陽の節句に菊を食べるのはとても理にかなっているんですね。
そうはいっても、結構なんでも食べるうちでも、菊の花は嫌厭されます。
「花は食べ物じゃない」と言われましたが、菜の花もふきのとうも、もっといえば、みょうがもカリフラワーも花です。
と、もちろん言い返しましたが、やはり、それは違うんだそうな…。
でも、菊の花のお茶は、アトピーに効くとのことで、お茶は飲ませたりしていました。
ちなみに、お茶は、ジャスミンティーとかもあるので、いいそうです…。