『食の豆々知識』 Vol.138 黒豆 vol.2

もう12月。

師走。

早いですねぇ。

今年は、自宅での料理教室でおせち料理を企画したら、ありがたいことにびっくりするほど、盛況で。

今時おせちは買うものだと思っていらっしゃる方が多いのかと思ったら、意外にそうでもないんですね。

今回は、そこで、質問の多いことをまとめてみました。

むか~しむかし、黒豆のコラムを書いた気もしますが、そこはまぁ、見逃して頂いて。

では、今回は「黒豆」のQ&A。

 

●祝い肴って?

お祝いの席にでる酒の肴(さかな)のことで、おせち料理でいえば、「祝い肴3種」として、基本の料理のことをさします。

関東では「黒豆」「かずのこ」「田作り」のことですが、関西では「黒豆」「かずのこ」「叩き牛蒡 」が主流のようです。

 

●おせちの黒豆の意味は?

一年中マメに働く、マメに生きる。

おせち料理の基本でありながら、非常に地味な意味で...。

さすが日本人...。

なので一年中元気で働けるようにというように受け取っています。

ちなみに、関東では、黒豆の皮にしわをよせて煮るようですが、これは「しわができるほど長生きできますように」との願いがこめられています。

他にも、黒い色から、邪気を祓い、災いを防ぐという意味もあるようです。

 

●黒豆?黒大豆?ぶどう豆?なにが違うの?

黒大豆が原材料の正式名称。

黒大豆=黒豆です。

ぶどう豆は、もともと「ぶどうのようにふっくらと煮た豆」という意味の料理名です。

なので、黒豆ではない他の色の豆を煮たときにも使います。

でも、黒豆を真っ黒ではなく、明るい紫がかったぶどうのような色、または、ぶどうのような真ん丸に煮たものを特定してぶどう豆と言ったり、そう煮れる豆自体をぶどう豆といって売っていたり、まぁ、定義はあるようでないというか...。

 

●なんで黒豆を煮るときに錆びたくぎを入れるの?

簡単にいえば黒くするためです。

黒豆の黒い色素は「アントシアニン」(なんか紫キャベツの回で聞いたことのあるような...)です。

これが、鉄とくっつくことで、色を安定し、より黒くきれいに仕上げてくれます。

なので、なくても煮れます。一度煮汁に染み出た黒色は、時間がたつと豆に色が戻りますので、砂糖を加える前に一晩おいておくといいです。

それでも、鉄鍋で煮たものと比べると、やはり後者の方が黒く仕上がりますが。

最近は、鉄の卵など、黒く仕上げるために鍋に入れる鉄分のアイテムもいろいろ出ていますね。

でも、逆に最近の釘はさびないようになっているので、最近の釘をいれてもダメです(笑)。

 

●どうすればしわがよらないの?

しわがよる理由は①空気にふれたため②浸透圧によるためです。

必ず黒豆が隠れているように水分を調整すること、また、完全に冷えるまで空気にふれさせないとこ。

そして、砂糖を加える場合は、何回かに分けて少しずつ加えること。

などに注意します。

日本料理の蜜煮と呼ばれる煮方は、やわらかく煮た豆を、初めは薄いシロップに、徐々に濃いシロップに漬け込んでいきます。

また、煮た豆に砂糖を加えて煮ていく場合は、3回以上にわけて砂糖を加えていきます。

初めから砂糖や醤油を合わせた煮汁に漬け込んでから、火にかける方法も、しわがよらないようにするためです。

そう考えると煮方にはいろいろと理由があるんですね。

逆に関東風にようにしわを寄せて煮る場合は、一気に砂糖を入れる訳です。

 

●どうすれば皮がはじけないの?

先に表面の部分ばかりに一気に火が入ると、皮がはじけます。

なので、①一晩水に浸してから火にかけること②沸騰したら刺し水を2~3回すること③ぐらぐらと沸騰させず、弱火でことこと煮ること。などに注意します。

また、塩分が先に入るとはじけづらいので、水に浸ける際、塩を小さじ1程度加えて戻すといいようです。

でも、豆にもよるんですけどねぇ~(笑)

などが、質問の多いものでした。

黒豆はとってものどにいいので、料理教室で残った煮汁を、ここ最近毎日のように子供たちにのませております。

ちなみに、私は、黒豆を煮て砂糖を加える前に煮汁をとっておき、その煮汁でお茶を入れて飲んでます。

黒豆茶ってやつですね。

黒豆は、アンチエイジング食材でもありますから(笑)。