『食の豆々知識』 Vol.159 銀耳(ぎんじ)

まだ残暑がところどころに残っているようで、風は完全に秋の風に変わりました。

9月に入ったとたん、息子の肌の調子が悪くなり、娘は空咳をしながらのどが痛いと...。

中医学では、秋は「燥邪」とよばれる乾燥性の邪気が挿入すると言われています。

燥邪は、肺や大腸を痛めやすく、空咳やのどの痛み、喘息、皮膚や髪の乾燥、荒れ、便秘などの症状をおこします。

教科書通りだな、とつい笑ってしまいましたが、この季節によく使用される薬膳の食材は「銀耳」。

日本の読み方は、ぎんじ。

中国はインアル。

今回は、この「銀耳」の話。

 

●銀耳ってなに?

銀耳は、白きくらげのこと。

黒きくらげ同様、乾燥されているものがほとんどで、そのせいか、きくらげがきのこの仲間だということを知らない方も多いよう。

中華料理の高級食材としてデザートなどに使用されていますね。

最近では、人工栽培ができるようになり、安価な白きくらげや、国産の生のものも手に入るようになりました。

きくらげは、中国では、木耳(ムウアル)と書き、木の耳と言われています。

英語表記は、jew’s-ear。

ユダの耳という意だそう。

ユダはキリストの使途、首を吊った木から生えてきたからと言われています。

しかし、日本では、木になるくらげ。

くらげのような食感からつけられたようです。

私はこっちのセンスの方が好きですけどね(笑)。

白きくらげは、黒きくらげと同様、広葉樹の枯れ木に発生しますが、黒きくらげとは別種です。

本当に、ややこしい名前で。

 

●銀耳はなにをしてくれるの?

薬膳としての銀耳は、慈陰潤肺、養胃生津。

つまり、身体に必要な液(唾液や胃液などすべて)を補い、乾燥を嫌う肺を潤し、また、弱った胃を調えてくれる食材。

上記で述べたようにこの時期にぴったりの食材なんですよね。

また、肺を潤わせることで美肌効果もある言われる白きくらげ。

近年、白きくらげには、シロキクラゲ多糖体と呼ばれる成分が発見され、これが保水力に優れ、肌に潤いやハリをあたえると、化粧品にも使用されるようになりました。

このことを何百年も前から気づいていた漢方のおそろしいことよ...。

この時期、中医学では、銀耳に限らず、白い食材を取り入れるとよいと言われています。

ゆり根や白ごま、梨、れんこん、里芋...。

なすなども白い野菜です。

これから本格的に始まる乾燥に備え、今のうちから、毎日少しずつとるとよいと言われます。

体調を崩すことなく、元気に食欲の秋がむかえられますように(笑)。

ちなみに、うちの子供たちは、きのこ類がすべて苦手。

でも、中華料理の前菜、くらげが好きな彼らは、きくらげは、白も黒も食べます(笑)。

まだ、きくらげはきのこの仲間だとわかっていません...(笑)。