『食の豆々知識』 Vol.161 羊肉

家でお肉を食べる時に、何のお肉であることが多いですか?

日本におけるお肉の消費量の順位は、豚、鶏、牛の順だそうです。

そこには、羊肉は、入ってきません。

でも、世界で一番食べられているお肉は、羊肉だそうです。

日本では、なぜ羊肉をあまり食べないんでしょうか。

今回は「羊肉」の話。

 

●ラムとかマトンって何が違うの?

羊肉を買おうとすると、よく、「ラム」とか「マトン」とかという言葉を耳にします。

「ラム」は、乳離れした生後1歳未満の仔羊で永久歯が生えていないもの。

「マトン」は、生後1~7歳くらいまでの成羊のこと。

もっと細かくわけると、乳離れしていない生後2~3か月くらいまでの仔羊「ミルクラム」、生後6か月くらいまでの仔羊「ベビーラム」などもありますし、ラムとマトンの間に、生後1~2歳の「ホゲット」と呼ばれる仔羊もあります(ちなみにこの分け方は、産地によっても違うようです)。

マトンによくある独特の香りは、草食動物特有のもので、その草食をしていないミルクラムは、全く癖がなく、肉も柔らかく高級食材として流通されています。

考えてみればそうですよね…。

私も食べたことはありません…(笑)。

また、マトンは、羊毛用種と肉用種に分かれます。

日本にもともと輸入されたのは、この羊毛用種です。

食べることが目的はなかったため、羊肉にある独特な香りは更に強く、肉質も固く、これが日本で主要の肉にならなかった理由ですね。

きっと。

近年、オーストラリアやニュージーランドより輸入され、スーパーに並んでいるのは、上記のラム肉が多く、マトンも肉用種がほとんどです。

 

●羊肉といえばジンギスカン

一般的には、北海道を代表する郷土料理とされる鍋。

中央部が凸部になっているジンギスカン鍋を熱し、羊肉の薄切りを焼き、そこからでる肉汁で野菜を調理して食べます。

羊が羊毛のために輸入されてきたのは、明治時代。

その飼育の本場、北海道で初めて羊肉を食材として使用されたのが大正時代と言われています。

モンゴル帝国を率いたチンギス・ハーンが遠征の兵士のために作らせたとも言われているこのジンギスカン。

実際には、モンゴル料理とはかけ離れ、中国料理ともかけ離れた、完全なる日本の料理であるらしいです。

第一次世界大戦にて、軍服の生地を生産するために増やした羊が、第二次世界大戦が終わると今度は余り初め、羊の有効利用のために農林省が料理研究依頼までし、ジンギスカンを普及させたそうです。

つまりは、北海道の郷土料理ではなさそうですね…。

もちろん、当時の羊肉は、羊毛用種のマトンであったため、羊肉は臭い、と思って全く羊肉を食べようとしない高めの年齢の方(うちの親など 笑)もいらっしゃるようですが。

北海道のジンギスカン料理にも、近年では、クセの少ない、やわらかなラムが使われているところも多いようです。

 

●羊肉は、薬膳料理なの?

薬膳鍋によく羊肉が使用されたりしています。
 
中医学的にみると、羊肉は、一番身体を温める食材とも考えられているからです。

モンゴルなど寒いところでよく食べられているのもよくわかります。

羊肉を使用した鍋を食べた後は、その後もずっと身体がぽかぽかしているはずです。

良質なたんぱく質の他、ビタミンB群、鉄分なども豊富で、冷え性以外にも、貧血や、産後の母乳分泌不足などにもよいとされています。
子供たちが、羊肉を食べる時に、

「ジン、ジン、ジンギスカーン♪」と歌っていて、

「それは、ジンギスカン鍋のことじゃなくて、チンギス・ハーンのことなんじゃないの?」と訂正していたんですが。

でも、ジンギスカン鍋も、結局はチンギスハーンの名前からきているということで。

もしかした、それはそれであっているのかもしれませんね…。