『食の豆々知識』 Vol.181 季節の薬膳 夏Ⅰ
今年は、雨が多いですね。
5月が暑かったこともあり、今は肌寒い日が続いていると、なんだか変な感じです。
このまま、夏も涼しく終わるんじゃないかなんて、淡い期待を抱きますが、そうは甘くもなく...。
きっと、また、暑くなるんだろうな~と。
今回は、夏のお話し。
●まずは、夏に表れる身体の特徴から。
夏は、「暑」の気の季節です。
「火」とも言われます。
炎が燃え盛り、上に一気にあがっていくイメージ。
発熱、顔が赤くなる、多汗、のどの渇きなどは、夏の症状ですね。
また、五臓では「心」の機能がさかんになります。
暑くて汗をかき、心拍数が多くなります。
汗をかくことで、身体の血や水分が失われます。
これにより、「心」を痛め、動悸、寝つきの悪さ、不眠、多夢...などの症状がでます。
また、湿度も高いため、梅雨からの症状をひきづり、食欲不振、疲れ、だるさ、むくみなどの症状も表れがちです。
これがまさに、「夏バテ」の症状ですね。
●この時期、まずは、これをよくとりましょう。
食薬の分類の中で、今回は、まず身体の余分な熱を取り除く手助けをしてくれるものをとりましょう。
「清熱類」のものや、涼性、寒性ものを使用します。
また、苦みのあるものも清熱の役割をしてくれます。
清熱類…セロリ、白菜・苦瓜・小麦・緑豆など
夏野菜はほとんどこの分類ですね。
また、清熱類の中でも、特に「生津止渇」といい、潤いをあたえ、のどの渇きを改善してくれる食材もあります。
きゅうり、トマト、豆腐、冬瓜・スイカ・梨など
また、酸味のあるものは、多汗を押さえてくれる「収斂止汗(しゅうれんしかん)」という作用があります。
辛いものは、夏に食べたくなりますが、熱を悪化させ、更に津液を消耗させますので、控えるようにします。
夏は、冷たいものを食べたり飲んだりしたくなる季節ですが、脾胃(消化)を傷めてしまうので、とり過ぎには注意が必要です。
揚げ物や脂っこいもの、また、甘いものを控えることも大切です。
暑くて冷たい飲み物をごくごく飲むよりも、トマトやスイカをかじった方が、身体の熱も取ってくれるし、のどの渇きも潤してくれる、ということですね。
次回は、更に夏バテぎみになってしまったら、何を食べたらいいか、というお話を。
こうも涼しいと、夏バテなんかにならないような気がしておりますが、次回の時には、暑いですね~とか言っているんでしょうね...。
ところで、夏は、陽気がもっともさかんな季節で、万物が成長する季節でもあります。
うちの高校生男子も、ここでぐっと成長してくれるといいのですが...。
もちろん、身長も、そして、中身もです...。