『食の豆々知識』 Vol.182 季節の薬膳 夏II

先月は、ここで、涼しくてなんだかおかしいですね、という話をしていました。

でも、きっと来月は、やはり暑くなりましたなんていっているんでしょうね、と...。

まさに、ですね...(笑)。

土用に入っても、梅雨が明けず、晴れていてもどこか肌寒いような感じでしたが、梅雨明け宣言の後は、さすが、いきなり気温も上がり、強い日差しに...。

やっと干せるようになった梅干しは、普通丸3日間、天日干しをするのですが、今年は渇きがよすぎて、2日で取り込みました。

さて、この急な変化。

身体はついていっていますか?

今日は、先月の続き。夏の養生のお話し。

 

●さて今、どんな状況?

急に暑くなると、ついつい冷たいものばかりに手が伸びていませんか?

冷たいものばかりをとっていると、胃腸が冷えてしまい、機能が悪くなります。

また、汗をかきすぎると、体内の必要な水分が消耗され、気力も消耗してきます。

そうなると、食欲も減退し、スタミナのつくものも摂取できず、更に冷たいもの、素麺などさっぱりとしたものしか摂取しなくなる、と負のループが続いていく訳です。

これが、夏バテと言われる症状ですね。

最近ではこれに追加し、クーラーの効きすぎで、血流が悪くなり、身体は熱をもっているのに、胃腸をはじめ、手足など、部分的に冷えてしまっていることも多いようです。

 

●そんな時は何がいい?

食欲がない時はまず、胃腸を元気にしてあげましょう。

食薬の分類の中では、「補気類」です。

補気類…米、芋類、鶏肉、キャベツ、この季節であれば桃など。

ただし、この辺は甘味のものが多く、夏に食べ過ぎていると、身体がだるく、重くなってくるので、健康な時に食べ過ぎるのは注意です。

麺類は、食べやすいし、心を落ち着かせ、身体の熱を取り去る作用もあるので、摂取するのはおすすめですが、これも食べ過ぎは、粉類ですので、胃腸の負担になってきます。

また、汗に伴い、身体の水分が消耗していますので、「補血(養血)類」や「補陰(滋陰)類」を意識してとるようにします。

補血類…にんじん、ほうれん草、イカ、タコ、ピーナッツなど。

補陰類…白きくらげ、ごま、卵、乳製品、豚肉、かきなど。

スパイス類は、健胃効果があるものが多く、また、消化をよくしてくれるもの、食欲を増進してくれるもの、血流をよくしてくれるものなども多いので、スパイスをうまく利用するのもおすすめですが、辛いものは、汗をさらにかき、体力を消耗させ、また、シナモンやクローブなどは身体に熱をこもらせてしまいますので、ご注意ください。

もちろん、極度の冷え性でない限り、先月におすすめした「清熱類」は、冷たいもののように胃腸を冷やすことなく、身体のこもった熱を取り去ってくれるので、夏には必要な食材です。

汗をかくと、身体の中の必要な水分が消耗します。

水を飲むことは必要ですが、水だけでは、汗と一緒にでてしまった身体の必要な栄養が、薄まるだけなので、解決にはなりません。

また、今はじめじめと暑くてあまり考えられませんが、9月からは秋に入り、今度は身体が乾燥してきます。

そのためにも、8月後半くらいから、身体の中に潤いを与えるよう、補陰類は必要です。

ちなみに、よく言われますが、ビールは、水の代わりではありません(笑)。

逆に、脱水症状を起こす方です(笑)。

汗かいたから、ビールで水分補給しよう、はダメですからね(笑)。