『食の豆々知識』 Vol.183 季節の薬膳 秋Ⅰ
あんなに暑かった夏も、9月に入ると急に、朝晩は涼しく、昼も日差しはまだ強くてもさらっとした暑さになってきました。
秋ですね...。
と言いながらも、まだ、昼間は暑いですが...(笑)。
●まずは、秋に表れる身体の特徴から
秋は、「燥」の気の季節です。
乾燥の季節ですね。
肌が急にカサついてきていませんか?
のどが急にからからとしてきてませんか?
この時期は、身体に必要な水分(津液)が損傷されやすくなります。
五臓六腑では「肺」と「大腸」の季節。
これらの臓器が活発になる季節ですが、津液が足りなくなることにより、これらの働きが悪くなります。
空咳や喘息、気管支炎などの肺のトラブル、便秘などの大腸のトラブルに加え、皮膚のトラブルは、この2つの臓器に関わってきて起きることです。
どれも秋におこりやすいトラブルです。
●この時期、まずは、これをよくとりましょう
食薬の分類の中で、まず身体を潤してくれるものをとりましょう。
ここで注意をしたいのが、「温燥」と「涼燥」です。
初秋の時期、まだ、夏の名残りで内臓に熱をもっている状態で、外からの乾燥と、熱による身体の中からの乾燥がある「温燥」では、まずは、余熱を取り去ります。
熱を清めることで、津液が生じます。
また、同時に身体に潤いを与えるものも取り入れるようにします。
逆に、晩秋、寒さが強くなる「涼燥」では、身体を潤すものを取り入れながら、冬に備え、身体を温めていくようにします。
身体に潤いを与えてくれるのは、「補陰(滋陰)類」です。
補陰類…ゆり根、白きくらげ、ごま、卵、豚肉、乳製品、かき、クコの実など。
また、身体の余分な熱を取り去り、津液を生じさせてくれるものは、
きゅうり、トマト、豆腐、びわ、梨、りんごなど。
身体を温めながら、潤してくれるものは、
もち米、くるみ、はちみつ、生姜、ねぎなど。
発汗作用のあるものや、刺激性のある生姜、ねぎ、香辛料などは、涼燥の時期は、逆に津液が消耗されるので、控えるようにしましょう。
今年は、梅雨が長く、夏が短かったですね。
私のまわりで、「リュウマチが悪化した」「身体がだるい」{腰が痛いのが治らない}「50肩になった」という方が増えています。
もしかしたら、これらは、梅雨が長かったせいで、湿が身体にたまり、夏に発散しきれていないからかもしれません。
まずは、夏に残ったいらない湿を取り除き、いらない熱を取り除くこと。
これが、潤いを取り入れるためにもまず、やるべきことです。
湿を取り除く、熱を取り除くは、前号までをご参考に(笑)。
自分の身体と向き合って、今どんな状態化を考えながら、食べ物を摂取していけるようになるといいですね。
さて、次回ここで話をする頃には、乾燥が強まり、更に身体を潤すにはどうしたらいいか、ということになっていそうです。