『食の豆々知識』 Vol.198 気鬱体質

先日、「10月の日本の自殺者が、年間の新型コロナによる死者を上回る」という記事をみました。

昨年よりも40%も増加しているそうです。

ストレス社会の中で現代人は生きているといわれてきましたが、今年のストレス社会は、年が明けた時には想像もつかないくらい大変なものとなってしまいました。

ところで、何かの病気について調べようとすると、ほとんどの原因に、「ストレス」の文字があります。

これは、近年の傾向なのかと思いきや、中国では、元の時代の医学書に「疾病の原因の多くは鬱にある」と記載がありました。

つまりは、病気になる原因の多くは、鬱(ストレス)のためであるということであり、今、私たちにのしかかってきているストレスが、そのうちなにかの病気を発症することもあるということで。

考えたくはありませんが、まだまだ、この新型コロナにふりまわされそうな感じがしております。

そんな中、今回は「気鬱体質」について。

 

●気鬱体質とは

長期間にわたる情緒の抑鬱、不愉快な気分などにより、気のめぐりが滞っている体質のこと。

一般的に、顔色が悪い、無表情、ため息が多い、不安感、眠りが浅い、怒りっぽい、腹部が脹れる、胸やのどがつかえる感じがする、などや、生理痛などの症状があげられますが、難しいのは、これを自分では気づかないことが多い、ということです。

 

●気鬱体質の薬膳処方

気のめぐりをまずはよくし、肝の働きを高めるようにします。

肝は、情緒(怒る、喜ぶ、悲しむなど)を調える働きをしてくれます。

そのために、「理気類」の食材を使用します。

中でも、香りのあるものがおすすめです。

また、滞っているため消化が悪いことも多く、胃もたれ、げっぷやしゃっくりの症状がある場合は、「消化類」を使用します。

気のめぐりを促進し、身体を温める(冷えていると、めぐりが悪くなるので)「辛温解表類」の食材も効果的です。

 

●気鬱体質によい食材

今までに何度も出てきていますが、確認です。

<理気類 :玉ねぎ、らっきょう、えんどう豆、そば、みかんなどのかんきつ類など>

また、七味唐辛子に入っている陳皮や、バラのつぼみの玫瑰花(まいかいか)、ジャスミンなども効果的です。

<消化類 :大根、かぶ、オクラ、山査子(さんざし)など>

また、不安や不眠などの改善をはかる安神作用の食材として、ゆり根や牡蠣、小麦などもよく使用されます。


鬱は、長期間にわたる滞りが原因です。

ぜひ、今から、めぐりをよくするよう、身体を動かす、温める、めぐらす食材をとる、ということを心がけたいものです。

そして、今年、新型コロナや自殺含め、全てのお亡くなりになられた方に、ご冥福をお祈り申し上げます。

来年こそは、良い年となりますように。