『食の豆々知識』 Vol.207 紫とうもろこし

昔、北海道で、とりたてのとうもろこしを生で食べさせて頂き(当時はとうもろこしは生で食べるものではなかった 笑)、それが本当に甘くて、みずみずしくて、とりたてってすごいな、と感動したことを覚えています。

それが最近は、「生で食べられるとうもろこし」がスーパーで売られるようになりました。

たぶん、流通がよくなったこともあるのでしょうが。

生で食べても甘さが残る、でんぷん質の少ない品種に改良されているのかなとも思います。

そんな、とうもろこしに先日、紫のものを見つけました。

つい、最近のくせでぱくりと生でつまむと...。

うわ...、でんぷんだ...。

口にでんぷんが残り、昔ゆでていないとうもろこしをつまんで食べてしまい、お腹こわすよ!と怒られた記憶が...(笑)。

ということで、今回は、「紫とうもろこし」の話。

 

●その名はなんと...


皮はほんのりと紫で、優しい感じですが、その皮をめくると、毒々しい...といっては何ですが、びっくりするほど濃い紫の実が顔を出します。

これ、あれだ。

カントリー調のディスプレイとかには必ず置いてある乾燥したとうもろこしだ。

これが第一印象。

でも、実はその品種とも違うらしいです。

もともとは、昔からあった「もち種」のとうもろこし。

お米に「もち米」と「うるち米」があるように、とうもろこしにも「もち種」と「うるち種(甘味種など)」があるそうで。

その「もち種」を品種改良したものらしいです。

ちなみに、飾り物のとうもろこしは、デント種やフリント種と言って、コーンスターチなどの加工品に主に使われている品種だそうで、青果としては食べないそう。

で、この品種改良された青果としても楽しめる紫のとうもろこし。

その名も「もちもち太郎パープル」!!(笑)。

 

●もちもちしてるの?


普段食べている甘味種と比べると、品種改良したとはいえ、糖分よりでんぷん質が多いため、もちもちした食感が特徴。

このでんぷん、通常のコーンスターチとも性質が違い、コーンスターチが高温で固まり、冷めると硬くなりやすいのに対し、低温から固まり、冷めても硬くなりづらいとか。

水からゆっくり茹でると、もちっとした、とうもろこしというよりどちらかというと豆に近い?ような食感が楽しく、また、噛んでいるとほんのりとした甘みも楽しめます。

 

●どうやって食べるのがいいの?


上記に記したように、生食はあまりお勧めしませんが(笑)。

まずは、水からゆっくり茹でて召し上がってみてください。

甘味種のように風味を残すこともないので、さっと、というよりゆっくり茹でた方が、もちもち感も甘みもでるような気がします。

そして、その水を見てください。

びっくりするほど黒いです(笑)。

でも、紫オクラなどと違って、きちんととうもろこしに色は残っています。

色が出てしまうのが気になる場合は、蒸す方がいいのかもしれません。

食感がいいので、サラダや炒め物に加えたり。

この色を生かしてスープや炊き込みご飯などもお勧めです。

少し秋の気配がしてくると、着るものも食べるものも色の濃いものを求めるようになりますね。

ぜひ、この初秋には、紫とうもろこしを差し込んでみてください。

そうそう、このとうもろこし。

普通のものに比べ、実離れがよく、きれいに1列ずつ実がとれます。

気持ちいいくらい(笑)。

でも、芯が結構しっかりしていますので、食べるのは、包丁でこそげとった方がいいかもしれません...。