『食の豆々知識』 Vol.215 日本酒の梅酒
そろそろ梅の季節がやってきます。
最近の居酒屋さんでは、こだわりの焼酎や日本酒で作った梅酒なども流行っています。
ということで、うちの梅手仕事料理教室でも、「日本酒で梅酒をつくりたいのですが」という問い合わせが増えてきました。
しかし、ちょっとまった~!
気をつけてください。ホワイトリカーで作るように、普通の日本酒で梅酒をつくると酒税法違反となります。
酒税法って、お酒を売ったりしなくても、個人的に家でつくったり、持っていたりするだけでも違反になることがあるんです。
今回は、そんな梅酒づくりの酒税法の話。
●日本酒で梅酒をつくっちゃいけないの?
まず、基本の梅酒の作り方ですが。
簡単に言うと、瓶に処理した青梅と砂糖、ホワイトリカーを加え、3~4か月冷暗所で保管し、梅のエキスがでれば出来上がりです。
で、このホワイトリカーを日本酒に替えたいところですが。ここで注意点が。
酒税法では、梅酒などの果実酒をつくるときの酒類は、「アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みなものに限ります」と記されています。
つまり、35度程度あるホワイトリカーは問題ないのですが、日本酒の度数は15度程度が多く、一般にスーパーなどで売っている日本酒をつかって梅酒をつくると、酒税法違反となってしまう訳です。
●NHKでも謝罪していた過去が...
NHKの番組、「きょうの料理」でも昔、「みりんを使った梅酒のつくり方」を放送して、後日謝罪放送されたことがありました。
それを見て、私はそんな法律があることを知った訳ですが(笑)。
ちなみに、みりんのアルコール度数は、13~14度くらいです。
本格焼酎の一般的なアルコール度数は、25度前後、ブランデーは、40~45度程度、なので、この辺のお酒で梅酒をつくることは問題ないようです。
また、日本酒も20度以上のものも探すとありますので、どうしても家で、日本酒の梅酒が作りたい方は、探してみてください。
同じ果実酒でも「ぶどう」を使用してお酒をつくるのは、酒税法違反になります。
って知ってました?
実は私は、最近知りました...。
いろいろわかりづらいです...。
●家でみりんをつくることも禁止です。でもうち教室やってます。
みりんは、米麹に焼酎を入れて発酵させて作ります。
でも、上記のぶどうと一緒で、アルコール度が20度以上あったとしても、酒類に麹を入れてはいけません。
つまり、家で、アルコール度が13%もあるみりんは作れないんです。
なので、教室では、お酒として認められない、みりん発酵調味料をつくります。
お酒とは、「アルコール分1度以上でかつ飲用に供することができるもの」なので、飲めないものにすればいい訳です。
その方法は、4つ。酢を入れる、酢酸を入れる、氷酢酸を入れる、白塩を入れる。
うちでは、塩を入れて、飲めないみりん(つまりはお酒じゃない)としています。
塩分は、約1.5%以上あると、「飲めない」と認められるそうです。
確かに飲めません...。
スーパーで売っているみりん風調味料や発酵調味料とは、こういった酒税法の逃げ道なんですね。
酒税法が、売ってる人だけに関わるものと思っている人も少なからず。
実は、知らずに違反していることもあったりします。
もうちょっとわかりやすく表示されているといいんですが...。