『飲食店 繁盛ダネ!』 その七

QSCのS


飲食業界におけるサービスの認識は、私がこの業界を知った30年前から比較すると格段の変化をとげています。講演でも時々口にしますが、「日本の飲食店のサービスは世界一」と言っても言い過ぎではないでしょう。もちろん他業界でもその変化は顕著に感じられます(パチンコ業界・JR各社・ホテルetc)そんなすばらしいサービスを日常に体験しているお客様を満足させなければならない我々はタイヘンな仕事をしているわけです。基本から臨機応変な対応まで、本当のプロとしてお客様と接しているかを見直し、また進歩しつづけなくてはなりません。秘書のように目配り、気配り、心配り、そして友達のようなホスピタリティを実現しなくてはなりません。では、基本とはなんでしょう。私が考えるに第一にやはり心の持ち様でしょうか。「人が喜ぶ姿が嬉しい」「奉仕する自分が嬉しい」つまり『自己犠牲』のうえで生きがいやりがいを感じる心が創れているかがまず大事ではないでしょうか。この心持ちがないと本当のサービスは確立できないと思うのです。とはいえ、経営的に考えると自分自身はさておき社員・P/Aにまでカンタンにそのような高尚な心をいだいてもらうのは至難の業でしょう。ですから、まずは形から。形と言っても突然マニュアルを導入するのでは絵に描いたモチになってしまうのがオチです。マニュアルはあるけど倉庫に眠っていますという話はよく聞く話です。マニュアルを受け入れる下地作りをしなければなりません。その第一歩はやはり教育です。マニュアルを突然つきつけるのではなく、なぜマニュアルが必要なのか、なぜマニュアルの内容をしなければならないのかを教え、マニュアルを使いこなす人創りをするべきなのです。人材教育があって実践の基本に入るのが望ましいですね。
 では、実践の基本であるサービスの原則をご紹介しましょう。

原則5S
1. スマイル
全く敵意のない歓迎の意を世界共通理解していただけるサービスに最も強力な武器であり、また自分自身の心の安定とモチベーションを高める大切な表情です。
2. スピード
行動がスピーディーで手際が良い事は、お客様にとっては安心につながります。また早さそのものがサービスとして認められる場合もあります。
3. スマート
P/Aも社員もお客様に見られている事は変わりません。立ち方・歩き方・仕草・姿勢等、魅せられるように一挙手一投足「美しさ」を考えて行動することが大切です。
4. スタディ
常に情報収集に努め他店との比較、新たなサービス向上のための手段を常に模索しつづけなければ、お客様の意識に遅れをとってしまいます。世の中のマインドを知り、ハートでお客様の喜ぶ表現を創造するのです。
5. シンシアリティ(誠実さ)
サービス全般に流れる大切な真心の表現といえるでしょう。来店されたお客様を身内のようにお世話するにはこの誠実さがなければできません。

まず、この原則の5Sを考え、表現できる人になろうじゃないかとスタッフの方々に問いかけていく教育から始めてみてはどうでしょう。
教育は明日、明後日の売上に即効性のあるものではありません。ただ、長期的な事業の計画には最も効果が出るものであることは間違いありません。