石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その四十四

形だけの店長はダメ!マクドナルドだけの問題じゃない!?

毒入り餃子や年金問題、ホテル従業員の殺人事件など、最近大きなニュースが相次いでいます。

そんな中、隠れてしまいましたが、我々の業界にとって重要なニュースがありました。

日本マクドナルド社が1個人に裁判を起こされて敗訴したというものです。

マクドナルドはすぐに控訴したそうですが・・・。

《飲食店ますます受難?》

裁判の内容は、「店長は時間外労働の適用の除外を認めている労働基準法第41条2項の管理監督者にあたり、残業代を払わなくてもよい」として会社が残業代を払っていないのに対して、店長は労働基準法第41条2項の管理監督者に「あたらない」として残業代の支払いを求めるというものでした。

この店長さんは1987年に入社して1999年に店長に昇格していますからもう20年を超えて会社に貢献しているわけです。

彼の主張を見ると月100時間以上の残業を2003年にマクドナルドが成果主義を取り入れてから続けざる終えなくなったようです。

その間、家族旅行も中止になり、奥さんが倒れたときも付き添いできず、子供の卒業式では寝てしまうなど家族の関係にも亀裂が生じ、ついには自分もぎっくり腰になった状態でも勤務を続け、挙句の果て軽い脳梗塞を起こすといった状況だった等‥とのこと。

確かに主張を聞いていると理解できる内容がいっぱいです。

ましてや20年もがんばってきた人の言葉ですから信憑性があります。

でもふと思うのです、ここまでではないにしろ、近い働き方をしている店長はたくさんいるのではないでしょうか。

みんなただ我慢しているのでしょうか。

そうではなくおそらく経営者や上司が何らかのガス抜きを続けているのではないでしょうか。

今回の店長さんも主張の中で人手不足で負担が自分にかかることを「店長は監督者なんだから自己責任だ」と突き放されたり、労基局の監査が入った時には「お前の家族が垂れ込んだんだろう」と言われたり、どうも彼の言葉に耳を貸した人間がいないようなのです。

もちろん意見を聞いてあげたり、ガス抜きをしてあげれば済むと言うわけではありません。

企業にとっての人材はいつの世も宝の原石です。

まして店長は管理監督者として経営者側の人間のはず、充分な教育とコミュニケーションが必要です。

労働者として縛り付けるために役職をつけた結果が《店長》では本人も法律も会社の論理は認めてくれないのです。