石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その四十六

飲食店の大黒柱、商品・接客・クレンリネス、一つ欠けたら台無しよ

時々困ったお店に出会うものですが、今回も「あぁ~ぁ」に出会ってしまった石田です。

池袋の知人に食事でもと誘われてサンシャインの飲食店をぐるりと回って「まあ、無難にいきましょう」ということになり、黒豚のとんかつとハンバーグが売りの店にはいりました。

これがまいった、友人はハンバーグ、私は黒豚カツどんを注文したのですが・・・

出迎えてくれた女性スタッフはとても感じがよく、笑顔も素敵でした。

思わずビールを頼んだこともあってつまみ系の単品までいくつか注文してしまいました。

そんなもんですよね、特に中年のおっさんが二人で飲食店入ったら。

周りのテーブルも次々お客さんで埋まり始め、これからがピークというかんじです。

ビールがきて乾杯、タバコをふかして1本吸い終わるまもなくハンバーグが運ばれてきました。

「早いなあ」、思わず感心してしまいました。

知人はつまみ代わりに早速箸をつけました。

「そういえば、つまみより早いんだなあ」そんなことを思いながら、ビールのグラスをあけた時です。

知人から「ふぇ~っく」と変な声があがったのです。

「どうしたの?」たずねた私に「気持ちワルインデスヨ」といいながらハンバーグを解体している彼から出た言葉は、

「火が入ってません、全く生です。先生、牛100%って書いてあったから、大丈夫ですよね。一口思い切り食べちゃいましたよ。」

「だ、大丈夫じゃない、牛100%だから、それにビールで消毒してるから・・・」

解体バーグのグチャグチャを見てうろたえた私はおよそ専門家とは程遠い言葉で慰めていました。

そこへ私の黒豚カツどんが運ばれてきました。

当然私たちはハンバーグのことを告げました。

「え!、大変申し訳ありません。すぐに新しくお持ちいたします。」

「いやいや、もうハンバーグはいいから、他のしっかりお願いね。」

二人のおじさんはとてもいい人でした。

「つまみだけじゃお腹満足しないでしょう、カツどん半分あげるよ。」

どんぶりの蓋を取りながら、そう言った私の顔はすぐに曇ってしまいました。

カツどんの卵はトロリどころか完全に生卵のままなのです。

「なんだこりゃ、生卵カツ乗せドンじゃないか。食べる?」

「いりませんよ。口の中が気持ち悪いのに生卵ゴハンなんか食ったらもっと気持ち悪いじゃないですか。」

「そりゃそうだ。」

そう言いながら、カツだけを口に運んだ石田でしたが、このカツがまた冷たく固いのです。

『揚げおき』です。マイッタマイッタ。

その後、機嫌の悪くなった知人に、私がハンバーグがキチンと焼ける裏技をレクチャーし始めたのですが、「そんな話聴きたくねぇ」という空気を察知したKYではない石田は「ちょっと店変えますか?」「ですね。」となって、店を出たのでした。

店を出る時のスタッフの方の応対はとても良いもので対処も確かなものでした。

ホントなら「おいしかったよ、また来るよ。」と言いたくなる接客なのですが、当然そんな言葉は言えず、恨みがましい二言三言を残して去ったのでした。

残念ですよね、大黒柱が三つある飲食店では一本だめでも他の2本で大丈夫と思われるかもしれませんが、1本欠けても台無しになってしまうんですね。