石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その五十四

ついにここまで来たか、というような事件がありましたね。

東京池袋で居酒屋アルバイトの大学院生が客引きで捕まったというのです。

確かに池袋の繁華街では客引きの数が増加して目立っていました。

飲み屋系(クラブ、ラウンジなど)や風俗系の客引きは確かに従来から通行に煩わしいほど出ていましたが、飲食店の客引きが当局から摘発されるような事態になるなどとは思ってもいませんでしたのでちょっと驚きました。

記事を読んでみると店は一人の客につき五十円をキックバックしていたようです。

大学院生はまじめにお客さんを追いかけていたのでしょう。

ただ70~80メートルもしつこく付きまとったのでは御用になっても仕方ありません。

石田もバブル弾けた頃の不振店を立て直すとき従業員による客ナンパ作戦を敢行したことがありましたが、かなりの効果をあげました。

今回の店もそこまで考えなければならないような状況に近い経営状態だったのかもしれません。

怖いのは池袋だけではなく新宿や渋谷でも、そして他の商圏にも同じ光景が見られるのが広がっているように感じられることです。

まあ、表に出ればお客さんがいる都会はまだ幸せかもしれませんね。

 

迷った時は振り返って原点に

東国原さんで知名度が上がった宮崎にクリニックで行ってきました。

お店をはじめて5年を過ぎ売上は落ちて戻らず、能力のある従業員はやめてしまった様子、商品を評価してくださる一部のお客様の意見を取り入れているうちにメニューはドンドン増えてしまい、今やドリンク含め200品以上に。
整理しようにも一番出ている商品で一日5人前ほどでは何を切っていいかも判断できず、比較的評判の良かった商品は能力の高い社員がやめたときに手間がかかるために止めたとのこと。

今いる社員は何とか自分なりに教育をしているが相手にはなかなか伝わらずお手上げ状態でどうにもならないというのが大体のところ。

「たぶん言われることは大体解ってるんですよね・・・」

淡々と話す社長さんは覇気が感じられずだいぶまいっている様子でした、心まで暗くなっているようでした。

でもこんなことは珍しくありません、誰でもが陥るかもしれない普通のことなのです。

店があるべき姿になるように今何をするべきなのか、普段の仕事に追われてそれこそが整理できていないことが店を混乱させている原因なのです。

お店を始めた頃にどんな店にしたかったのか、そのころどんな未来日記を描いたのか、振り返って原点に戻って、その未来日記を実現させるために1年毎に、1カ月毎に、1週間毎に、1日毎にやるべきことを意識してやっているかを点検すれば見えてくるものです。

石田もどうせその日は帰れない予定だったので社長さんとの話は長く長く続きました。

最後は明るい表情が見え、笑顔がまぶしいくらいになったのはなによりでした。

具体的な内容は日経レストランに書かれるでしょうからご覧になってください。

社長さん、あなたもお店に背中を向けていませんか。

かわいい自分の生み出した子供と同じなのがお店ですから、いつも間違ってないか注意してやってくださいね。ではまた。