石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その五十七

世の中には「こんなおばちゃんがいたら、普通お客様は来ないだろう」というようなとんでもない接客をするおばちゃんがいるのに、わんさかお客様が入っている恵まれた店があるものです。

そっぽ向いてオーダー聞く、質問してもニコリともしない、必要以外のことには答えない、石田はこういう人に出会うとまずはご機嫌伺いの意味で愛想よく「何がお勧めですか、美味しいの教えてよ」などと聞いてしまうのですが、返ってきた答えが、

「え、ウチは焼き鳥やだからね・・・(無言)」

「そうだよね。まずはビール頂戴。喉かわいてるから早くしてね」

「順番でやっていますから・・・」

渋谷という繁華街立地に助けられ、自然と売れている店には、100年に一度の不景気がやってきている危機感はないのですね。

立地に胡坐をかいている店にはこれから天を仰いでもらいましょう。

 

自分の店だ、と思えるスタッフのいる店に!

「先生、私この店で仕事をして生活をさせていただいています。だからこの店自分の店と思って大事にしています。そう思って仕事をしていると必ず社長さんわかってくれるはずです」

これは顧問店で働く中国人スタッフの言葉です。

この店では数人の中国人がいますが、皆優秀で細かいところにも気が付き頑張ってくれています。

なぜなのかはそこの経営者を見ている私にはよくわかります。

日本人も中国人もみな平等に接し、平等に熱く指導しているからなのです。

コマとして単純に労働してもらうだけでは必ず弊害が出るものです。

先日、またまた飲んで遅くなった深夜タクシーの列に並んだ石田の目にラーメンの文字が、ガラス越しの店内は煌々と電気がついています。

聞きなれたチェーン店です。

列をはずれ、ふらふらと店内に吸い寄せられた石田の口中モードはラーメンでいっぱいです。

ところが「終わりです!」と無情の声。

「終わり?」

「終わりです」

肩を落としながら表に出て振り返ると、なるほど頭上の看板は消えていました。

酔っぱらいの男にはどうもわからなかったようです。

ため息をつきながらタクシーの列を見ると知らぬ間に長く伸びていました。

踏んだり蹴ったりだなと思いつつ列に並び、改めて店を眺めてみました。

なんであんなに明るいんだ、外から見たってあそこにここにまだ消せる電気があるじゃないか。

ここのスタッフは節約という文字を知らんのか、こりゃ酔っ払いじゃなくてもやっていると思って入って行く人がいるに違いない。

オイラは悪くない、あそこのスタッフが悪い。

来ないタクシーに焦れながらそんなことを思う石田でありました。

30分程並んでいましたが、その様子は変わりませんでした。

だとすると二日で1時間ですから1ヶ月15時間分つけっぱなしということです。

彼らスタッフが「自分の店だ」と思っていれば気がつくことではないでしょうか。

他人事では気がつかないこと努力しないことが増えていくのでしょうね。